複合特殊作戦部隊 (C-SOCC) は、デンマーク、オランダ、ベルギーの三か国で編成された特殊作戦コマンド。NATO(北大西洋条約機構)特殊作戦本部に加わり、NATO即応部隊としてNATOの特殊作戦やその他の多国籍ミッションを支援する目的で編成された部隊だ。
NATO基準の特殊部隊に
現在、ヨーロッパでは特殊作戦部隊の相互運用性のレベルを最適化し、NATO加盟国、及び国内外のパートナーとの協力を最適化するために、共同作戦コマンドと訓練施設の確立を進めている。しかし、小規模統合作戦を実施できるNATO特殊部隊を保持しているのはイギリス、フランス、ドイツなどごく少数しかない。そこで、2017年2月に地理的にも近いデンマーク、オランダ、ベルギーの防衛大臣が三カ国の特殊部隊からなる複合特殊作戦(C-SOCC)の創設を起案し、署名された。
三カ国の特殊部隊が協力することで、各国はそれぞれの部隊を上回る運用価値を提供する能力を生み出し、多国間体制の構築を通じて、NATOの要請に対応したSOF能力を強化することができ、幅広い運用シナリオに効果的に対応することができる。C-SOCCの指揮は三か国間での交代制、最大7つの個別の特殊作戦部隊を同時に指揮し、調整する。2021年はデンマークが請け負う。
C-SOCCは2019年に初期運用能力に達し、2021年に完全に運用される予定であり、NATOの即応部隊に組み込まれる予定だ。NATO以外にも、C-SOCCは国連、その他の多国間活動を支援することもできる。
参加する特殊部隊
デンマーク軍
デンマークから参加するのは陸軍のイェーガー中隊(猟兵中隊)と海軍のフロッグマン中隊の2つの特殊部隊。イェーガーの起源は1785年と歴史ある部隊で特殊偵察を得意としており、最近ではアフガニスタンに派兵されていた。フロッグマンは海上水中活動を専門にする特殊部隊で、イギリスの特殊舟艇部隊SBSとアメリカのネイビーシールズをモデルに1957年に創設された。こちらもイラク、アフガニスタンに派遣されていた。
オランダ軍
オランダから参加するのは陸軍のKorps Commandotroepen(KCT)と海軍のオランダ海上特殊作戦部隊(NL-MARSOF)。KCTは第二次大戦時に創設された部隊で、大戦時はオランダ領東インドのマレーシアやインドネシアにも駐屯していた。NL-MARSOFはフロッグマン小隊、マウンテンリーダー偵察部隊、UIMと3つの部隊が合併して2013年に誕生した対テロ特殊部隊。
ベルギー軍
ベルギーから参加するのは陸軍の特殊作戦連隊(SOR)、特殊部隊グループ(SFG)。2つの部隊は共に第二次大戦時に空挺部隊として創設され、もともとは一つの空挺旅団で軽騎兵突撃隊と呼ばれたいた。戦後はコンゴやソマリアなどで活動、イラク、アフガンにも派遣されていた。2000年に第3連隊がSFGに2018年に軽騎兵突撃隊はSORに変わっている
Source
https://www.nato.int/nato_static_fl2014/assets/pdf/2020/12/pdf/2012-factsheet-C-SOCC.pdf
https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_155347.htm?selectedLocale=en