イスラエルのElbit Systems(エルビット・システムズ)社、パリで開催されている欧州防衛安全保障展示会「ユーロサトリ2022」で空中から投下する無誘導弾に長射程と、貫通力、精密誘導機能を与え、空対地ミサイル(ASM)に変える変換キット「REST Kit」を発表しました。
投下するだけの爆弾が射程120kmの対地ミサイルに
RESTキットは、ナビゲーションとガイダンス用のスマートテールと、射程距離拡張用の上部ウィングの2つからなるモジュール式ソリューションです。スマートテールには誘導装置のINS/GPSナビゲーションコンピュータと妨害防止システムを内蔵。上部ウィングは発射時に2枚の羽根が左右に展開、弾頭に空気力学による飛行効果を与えます。RESTキットを装着した弾薬の最大射程は120kmになり、これはヘルファイアの8km、ブリムストーン の20km、SLAM(AGM-84E)の94kmも長い射程になります。
JDAM ER transitioned from testing to production w/1st wing kit delivery to @Aus_AirForce thx to #Boeing + Ferra Eng. pic.twitter.com/UAddqyMF9p
— Boeing Defense (@BoeingDefense) April 30, 2015
無誘導弾を長射程のミサイルに変化するキットはボーイングのJDAMが有名ですが、JDAMで28km、拡張版のJDAM ERで50~70kmなので、これをはるかに凌駕します。
RESTキットは「ファイア&フォーゲット」機能を有し、発射後の誘導は必要ありません。気象の関係がない全天候型で、ターゲットへの貫通力を強化するために、急角度の衝突角度を可能にします。RESTキットは西側および東側の航空機に搭載されている兵器システムとアビオニクスの変更なしに統合を可能にし、さまざまな弾頭やヒューズと互換性があります。
民間人や民間施設への二次被害を防ぐため、航空機での空爆はミサイルや誘導弾といった精密誘導兵器に切り替わっており、無誘導弾の使用は極端に減っています。そのため、各国の軍は多くの無誘導弾の在庫を抱えています。RESTキットはこれらを在庫を安価に超射程のミサイルに変換します。
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