ロシア軍との戦いでドローンを効果的に運用するウクライナ軍は最近、安価で使い捨て可能な段ボール製ドローン”Corvo Precision Payload Delivery System (コルボPPDS) ”を導入しました。
コルボPPDSはオーストラリアを拠点するシステムエンジニアリング企業SYPAQ Systems社によって開発製造されたドローンになり、オーストラリア政府のウクライナへの軍事支援の一環でウクライナに提供されています。
コルボPPDS
コルボPPDSは過酷な戦場下で消耗することを前提にオーストラリア国防省の資金提供をうけて開発された低コスト小型ドローンです。その最大の特徴が低コストを実現する段ボール製の機体フレームです。翼や胴体が段ボールでできていることもあり、ドローンはフラットパックと呼ばれる平箱包装で配送され、一度に大量のドローンを輸送でき、場所もとりません。ドローンは組み立て式で、工作、家具の組み立てレベルなので専門的な知識は必要なく、一般にある工具とテープ、接着剤を使って組み立てができます。組み立てると本体は機体胴体と翼の2つのパーツに大きく別れ、その二つは太いゴムで固定されます。一度組み立てると解体はできません。段ボール表面はワックス加工されているので多少の雨ならば、濡れても平気です。
スペック
A Port Melbourne company is playing a unique role in the defence of Ukraine. SYPAQ has developed disposable drones made of cardboard, now used by soldiers for spying, supply drops and lethal missions. https://t.co/5zYfOfGqUb @NickMcCallum7 #7NEWS pic.twitter.com/RsqhN4d0MU
— 7NEWS Melbourne (@7NewsMelbourne) March 3, 2023
気になるドローンとしての能力は最大飛距離が120km、行動半径は60km、自律飛行が可能でGPS誘導はもちろん、GPS妨害を受けても飛行できるよう、飛行用ソフトウェアが搭載されており、速度と方向からおおよその飛行位置を特定して飛行します。操作は誰でも分かりやすいようAndorid端末を使ったインターフェイスです。コルボPPDSは物資の輸送及び、監視諜報任務を行えるよう設計されていますが、細かいスペックは公表されておらず、ペイロード、カメラのスペック、速度などについては不明です。機体は単独で離陸し、着陸も可能です。消耗前提に開発された使い捨てですが、再利用の有無、耐久性については今のところ情報はありません。
気になる価格は1機あたり3000ドル前後とされます。軍用ドローンと考えればかなり格安です。提供総数は不明ですが、SYPAQ Systems社は毎月100機ペースでコルボPPDSをウクライナに送っており、既に戦場で使用されています。オーストラリアはウクライナに3,300万ドル相当の無人航空システムを提供することを2月に表明しています。
Source
https://www.sypaq.com.au/news/sypaq-supporting-ukrainian-armed-forces/