8日起きたロシアとクリミア半島を繋ぐ、クリミア大橋の爆破破壊はロシア、そしてプーチンに大きな衝撃を与えました。早速、プーチンは調査を命令。調査員会は翌日にはウクライナの特殊部隊による犯行と断言。プーチンは報復を命じ、ウクライナ各地に数十発のミサイルを連日、無差別に撃ち込みました。
国内のテロ事件の捜査を担当するロシア連邦保安庁(FSB)は12日、クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋で起きた爆発に関連して、8人を拘束したことを発表。ロシアが主張するトラックの爆発についても、その詳細について写真や映像も踏まえ発表しました。しかし、これらにはいくつか、お粗末な点が見られ、国民や上を納得させるための自作自演が疑われています。
トラックのX線写真
まず、トラックについて、ロシアは爆発したトラックが爆発物らしきもので積んでいとたされるX線で撮影された画像を公表しました。画像にはガスボンベのようなものが見えますが、それだけではトラックが爆発物を積んでいたかどうかは分かりません。しかし、その画像は違う点で注目を浴びます。それは、爆発したとされるクリミア大橋の検問所を通過したトラックとX線の写真とではタイヤの数が異なるからです。
A video of the inspection of a truck carrying cargo with an explosive device and a photo of the contents of the truck at the customs post have been released
— AZ 🛰🌏🌍🌎 (@AZgeopolitics) October 12, 2022
X-ray of the truck at the customs post and documents on border crossing are shown in the thread pic.twitter.com/KSehcjyfYx
コンテナ前部、車の後輪に2つある筈のタイヤがX線では一つしかありません。そのため、X線写真が偽造されたものだとして、そのお粗末さに日本の主要メディアを初め海外メディアもこぞって報じました。だが、そもそも、クリミア大橋でX線検査は行われていませんでした。荷物は隣国ジョージアを経由して、ロシアに持ち運ばれましたが、X線検査はジョージアの国境検問所で行われたものらしく、ロシア国内に持ちこまれた後に荷物は別のトラックに積みかえられています。そこで、FSBはロシアに持ち込まれた際のトラックの写真も公開し、疑惑を否定。そのトラックとX線の写真ではタイヤの数は一致します。
The mystery gets weirder. This bill of lading was released along with the other documents and the image of the x-ray. At this time this document appears to be completely unrelated to the FSB narrative as route, origin, destination has nothing to with this shipment pic.twitter.com/SIsd2m6JmF
— Oliver Alexander (@OAlexanderDK) October 12, 2022
また、FSBの発表ではトラックはウクライナのオデーサを出発し、その後、ブルガリアから海路でジョージアに渡り、アルメニアを経由して、ジョージアから入国しました。2か月をかけて4か国を経由してロシアに渡ったと報告しています。その間、何度も税関で荷物のチェックを受けている筈ですが、全てパスしたということになります。これらの経路を示す、書類も公表されていますが、一枚には通っていない筈のトルコ、イスタンブールの記載があり、書類についても信ぴょう性が疑われています。
犯人を拘束
そして、FSBは橋の爆破に関連して8人を拘束したと発表。拘束時の瞬間、見つかった爆発物についても映像を交えて公表しています。
クリミア大橋に破壊に関連して、ロシアの連邦保安庁FSBは容疑者を拘束。爆発物が入った荷物を爆発物処理班も呼ばずに森で開封したpic.twitter.com/K4AepgKLi1
— ミリレポ (@sabatech_pr) October 12, 2022
まず、一つ目の映像ですが、バス停らしき所に立っていた男性を急襲。テイザー銃らしきものを発砲して拘束します。その後、場面はいきなり、森に移り、そこで男性が持っていたバッグの中身を開封。段ボール、そしてラップに何重にも包まれたその先には爆発物らしきものが。ただ、ここで疑問が、爆発物を開封しているのに装備が防爆スーツではありません。しかも、金属製のナイフを使ってサクサク開けており、そこに慎重さを感じません。まるで爆発しないことを分かっているような手際さです。クリミア大橋の爆破に成功した集団、ウクライナの特殊部隊が関わっているなら、相手はかなりの手練れの筈で、もっと慎重になるはずです。
ロシア連邦保安庁FSBが公開したビデオ
— ミリレポ (@sabatech_pr) October 13, 2022
50歳のウクライナ人男性はIgla携帯型対空ミサイルをキーウからエストニア経由でモスクワに持ち込んだらしい。爆発物を処理するのにウィルス対策用の防護服を着て回収したpic.twitter.com/wWlV7mdE38
2つ目の動画はエストニアから入国したとされる50歳のウクライナ人を拘束したという動画で、前後を車で塞ぎ、銃を持たずに突っ込んで車から引っ張り出し拘束します。ご丁寧にも上空からドローンで撮影もしています。車はその後、爆発物処理班が金属探知機で爆発物のチェック。すると車の底からソ連時代に開発された携行式対空ミサイルのIglaが発見されます。しかし、それを回収するスタッフはなぜか防爆スーツではなく、新型コロナで見慣れたウィルス防護服です。CBRNテロを恐れてのものかもしれませんが、であれば必要なのは化学防護服です。FSBが持っていないはずはありません。
これらお粗末な行いから、国民向け、そして、上を納得させるため捜査解決しました
とアピールするための政府側の自作自演と見られています。これを見てロシア国民が納得しているのかは不明です。