クロアチアの無反動対物ライフルRT-20

クロアチアの無反動対物ライフルRT-20
 Photo Ivan GALOVIĆ

対物ライフル・アンチマテリアルライフルと呼ばれる銃は大口径で、射撃時に強力なリコイル(反動)が発生します。しかし、クロアチアの対物ライフル”RT-20“は後方噴射式(バックブラスト)を用いることで無反動化した対物ライフルになります。

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T-84戦車の赤外線照準装置を破壊するために開発

RT-20

RT-20は1990年代にクロアチアのMetallic社によって開発されました。時はクロアチアがユーゴスラビアから分離独立するための「クロアチア紛争(1991~1995)」の時であり、クロアチアの分離派はユーゴラビア軍の赤外線カメラのおかげ夜間の移動もままならかったため、ユーゴスラビア軍のT-84戦車の砲塔に取り付けられた赤外線照準装置の装甲を撃ち破り破壊するためにRT-20は開発されました。RT-20の配備によって、効果を発揮するとRT-20はその威力から敵の機銃人陣地や砲撃陣地の破壊にも利用されます。

.50BMGの4倍のリコイルが発生する弾丸

RT-20に使用されているのは第二次世界大戦前から対空機関砲と使用されていた「イスパノ・スイザ HS.404」の砲弾20x110mm弾を使用しています。この砲弾を対物ライフルで使用する場合、対物ライフルで多く使われている.50BMG(12.7x99mm)の4倍の反動を射手は受けることになり、従来の肩当射撃では射手の肩が壊れてしまいます。そこで考案されたのが、RPG-7やカールグスタフとロケットランチャーで採用されている無反動砲の機構を持たせることです。これは発射時の爆風を後方に逃がすことで反動を軽減する方法です。RT-20には銃にあるはずの反動を受け止めるストック(銃床)がありません。射撃時はロケットランチャーのように肩に添えて照準、射撃します。照準器は側面に設置され、見た目は完全にロケットランチャーです。マガジンは無く1発ずつ装填するボルトアクションのシングルショットになります。

しかし、他の無反動砲と同様、バックブラストが凄いため、後方に立つことは危険ですし、室内など狭い場所での利用はできません。また、昼はバックブラストによる粉塵、銃口にマズルブレーキはありますが、フラッシュサプレッサーは無いため、夜は閃光で位置がバレる可能性があります。発砲音がでかいのとその射撃姿勢から鼓膜の損傷を避けるためイヤーマフなどの対策が必要など、スナイパー泣かせの銃になります。

RTはクロアチア語の「Ručni Top」を表しており、RT-20は「ハンドヘルドキャノン-20mm」を意味します。つまり”片手で持てる20mmキャノン”です。総重量は約20kgになり、キャノンとしては軽量です。最大射程は1800mになります。

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Source
https://hrvatski-vojnik.hr/hrvatski-snajperi/

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クロアチアの無反動対物ライフルRT-20
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