航続距離3000km超え!ウクライナが開発した2つの長距離無人機/ドローン

射程3000km超え!ウクライナが開発した2つの長距離ドローン
©AeroDrone

ウクライナは4月2日、前線から1300km離れたロシア中部タタルスタン共和国のドローン工場と石油精製所を自爆ドローンで攻撃した。ウクライナ国防省情報総局は、この自爆ドローン攻撃がロシアの自爆ドローン製造工場を標的とした特別作戦だったことを認めた。

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この工場ではイランからライセンス生産を受けた自爆ドローン「Shahed-136」などが製造されていたとされる。ウクライナ軍はここ最近、ロシア国内の兵器工場やエネルギーインフラを狙った攻撃を行っているが、今回注目すべきは、ウクライナ軍が1000km以上も離れた標的の攻撃に成功したこと、そして、それが無人機、ドローンであったということだ。ウクライナ軍は今回、攻撃に使用した自爆ドローンを明らかにしていないが、ウクライナは実は既に飛行距離3000kmを超える無人機/自爆ドローンを開発している。

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D-80 Discovery/E-300 Enterprise

©AeroDrone

ウクライナのAeroDroneが開発する無人機。ペイロードによって異なる2つのモデルがあり、80kg搭載可能なD-80 Discoveryと300kg搭載可能なE-300 Enterpriseがある。半径150kmで通信可能でその圏内であれば、遠隔操作が可能、アンチジャミングシステムも搭載できる。GPS誘導による自律飛行モードでは1000km以上の飛行が可能。350リットルの増槽タンクを搭載すれば飛行距離はなんと3,100kmまで伸びる。前述のドローン工場までの距離がウクライナの前線から1300kmの距離にあるので、前線の大分後方からでも射程に収めることが可能で、自爆ドローンとしての使用であれば片道分の燃料で問題なく、余ったペイロードを爆薬の搭載に使える。今回、工場の攻撃に使用されたドローンはプロペラ式であったため、E-300 Enterpriseが使用された可能性が高い。この2つのドローンは2023年3月にウクライナ国防省の認証を受け、調達契約を結んでおり、既にウクライナ軍に配備されている。価格は25万ドルから45万ドルとされ、搭載する電子機器によって価格は増減する。自爆ドローンとしては高価な部類に入るが、ミサイルと比較すればかなり安価にGPS誘導による精密攻撃が可能だ。

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Sokol-300

ウクライナ軍に最近配備されたされるのが、Sokol-300と呼ばれる新型国産長距離無人航空機だ。全長は8.5m、翼幅は最大14mと大型の無人機でペイロードは 300kg、最大で8m幅の荷物を運ぶことができる。最大飛行高度は12kmに達し、航続距離は3,300kmになる。ウクライナの東西の東西の距離は1400kmなので端から端まで往復可能な飛行距離であり、ウクライナとロシアの国境からロシアの北極圏にある少なくとも80の空軍基地まで標的にするのに十分な飛行能力を持っており、ウクライナを攻撃する航空機の大半が駐機している空港を飛行範囲内に収めている。設計は国内のルチ設計局によって行われ、エンジンも一部国産を使用している。搭載するエンジンによって航続能力は変わり、3300kmという飛行距離はオーストリア製のRotax 914を搭載した場合になる。各種ミサイルが搭載が可能で最大10km 離れた目標を攻撃することができる。さらに、機体には小型レーダー ステーション、合成開口レーダーを搭載でき、偵察監視諜報といったISRと航空支援を行う能力を持っている。価格は不明だが、スペック的にはウクライナ軍が使用するトルコ製無人機バイラクタルTB2と同等の扱いになるだろう。

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