イスラエルが市街地戦用に開発した最新自爆ドローン

イスラエルが市街地戦用に開発した最新自爆ドローン
IDF

間近に迫っているとされる、イスラエル国防軍によるパレスチナ・ガザ地区への地上侵攻。地上侵攻すれば、凄惨な市街地戦が予想されます。前回、イスラエル軍が地上侵攻を行ったのは2014年ですが、それからイスラエルは次の市街地戦を見越してか、市街地戦用の小型ドローン兵器をいくつも開発してきました。イスラエルが開発した最新のドローン兵器を紹介します。

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Ninox40

Ninox40はイスラエルのスタートアップ企業のSpearUAVが開発する小型ドローンです。Ninox”は小規模部隊による戦略的・戦術的な任務において、即座に諜報・監視活動、標的の捕捉、偵察 を可能にし、戦術上の優位性をもたらすように設計されています。

Ninoxには3つのモデルがありますが、特筆すべきはNinox40です。250g未満の重量しかないカプセル化したドローンは、専用のケースに入れて手元から、または40mmグレネードランチャーから射出することができます。発射はグレネード弾を発射する要領でバレルに挿入して射出、わずか数秒で上空にドローンを展開できます。過酷な戦場の条件に耐えるように設計されており、最大35分の飛行能力、広範囲の偵察機能、状況認識を強化するための昼夜カメラ、自動追跡機能を備えています。爆発物を搭載して自爆ドローンとしても利用することができ、遠隔操作可能な40mmグレネード弾と言ってもいいかもしれません。他にも車両搭載型のNinox66や艦艇や大型機搭載用の大型のNinox103などがあります。

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Firefly

イスラエルのラファエル社が開発したスパイク・ミサイルファミリーの一つである「Firefly」は二重反転式ローターを採用、市街地戦を想定した少し変わった形状の自爆ドローンです。
固定翼機タイプの自爆ドローンが多い中、ファイアーフライは垂直離着陸型のドローンで、ヘリコプターにも用いられる二重反転式ローターを採用することで高い推進力、小型ながら最大風速10m/s下でも安定したホバリングを実現しています。巡航速度は60km/hと車並みになり、非常に低速、飛行時間も短く15分ですが、2つ目のバッテリーを追加することで倍にすることもできます。操縦範囲は最大1000m、市街地の場合は障害物が多く、電波が遮断されるため、操作範囲は500mに軽減されます。

機体には350gのフラグメーション弾を搭載でき、これは手榴弾と同程度の重さになり、手榴弾同様に主に人への攻撃を目的にしています。低速、上下移動の機動性を活かし、建物の窓から潜入して起爆、中にいる戦闘員に打撃を与えます。シーカーには標的を検出、追跡するシステムも備わっており、オペレーターを補助します。低速、上下移動は市街地戦に適しており、威力も手榴弾レベルに抑えることで被害を建物の部屋単位に抑え、二次被害、余計な破壊を抑える事ができます。ファイアーフライは2020年5月からイスラエル国防軍で配備が始まっています。

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市街地戦用のミニ自爆ドローン「ファイアーフライ」
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LANIUS

LANIUSはElbit Systems社が開発した小型ドローンで、標的の背後に忍び寄り、周囲の巻き添えを最小限に抑えながら、標的を抹殺する暗殺ドローンです。

重量1.25kg、ペイロード僅か150gの小型ドローンで、最高速度72.4km/hで飛行するも、飛行可能時間は僅か7分間しかありません。大抵このサイズ、スペックの軍用ドローンは歩兵が携行する近接偵察ドローンとして使用されますが、ラニウスは人的標的を殺傷することを目的にした攻撃・自爆ドローンです。その小ささを利用して、建物内など入り組んだ場所に侵入。標的の背後から近づき爆発、標的を殺傷する、さながら暗殺ドローンといったところです。小型のため、爆発の威力は弱く、建物の損壊、二次被害を最小限に抑えることができます。

ラニウスは遠隔操作はもちろん、離陸、航法、偵察を行う自律モードが搭載され自律飛行させることもでき、GPS誘導の他に搭載された電子光学システムは取得した画像とエリアをスキャンし、周囲のデータを収集、置かれた環境の3次元マップを構築および随時更新します。AIが取得した情報とマップから飛行可能な空間、ドアや窓を識別するため、建物内という入り組んだ場所でも自律飛行を可能にしています。人を識別することもでき、且つ対象が敵対的であるかどうかも識別可能です。攻撃(爆発)の判断は必ず人が介入します。殺傷能力や被害範囲、使用されている爆薬に関するスペックは公開されていませんが、基本は人的標的を対象とした1 to killなので手榴弾よりも威力は小さいと思われます。

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背後から忍び寄るイスラエルの暗殺ドローンLANIUS

イスラエル軍のパレスチナ・ガザへの主な攻撃手段は空爆ですが、どうしても関係のない建物の破壊、民間人の巻き添えと二次被害が多くなってしまい、国際世論から批判されてきました。かといって市街地に歩兵や車両を進めれば、自軍の被害が多くなり、国内から叩かれます。二次被害を抑えながら、且つ自軍の被害も最小限に抑え、建物内、標的を無力化する術が必要でした。そこでドローンの活用です。しかし、今回、イスラエルは前例のない規模でガザに空爆を実施しており、民間人が多数犠牲になっています。今回、イスラエルはハマスを根絶すると言っており、二次被害を最小限に抑えるために開発された、これらドローンの出番があるのかは分かりません。

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