動く標的も捉えるDARPAの誘導ライフル弾EXACTO

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動く標的も捉えるDARPAの誘導ライフル弾EXACTO

戦場での狙撃兵の役割は増しており、より精度と威力が高く、射程の長いライフルと弾丸が求められている。それに応じて射撃距離は2㎞、3㎞と伸びた。しかし、距離が伸びる分、狙撃手には緻密な弾道計算が求められ、時には数十分かかることもある。米国防高等研究計画局DARPAが開発する誘導ライフル弾「EXACTO」はそんな狙撃手の負担を解消するライフル弾だ。

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動く相手を追撃するライフル弾

技術が発展したとはいえ強風など変化する自然環境化の中で動く目標を確実に捕捉することは非常に困難である。気圧や湿度でも弾道は変化する。狙撃手はその地理的環境、距離と重力と物理法則を基に速やかに標的までの弾道を正確に計算する必要がある。まさに数学者の領域だ。最近はスコープといった光学機器で簡易的なデータの計算は可能になったが、それでも非常に難儀な作業で狙撃手、スポッターの負担は大きい。時間をかければ標的を逃すこともある。また、どれだけ正確に計算を行っても人間の動きを正確に予測することは不可能だ。弾丸は2000メートルで発射からターゲットへの到達まで6~8秒、3000メートルで10秒程かかるといわれており、その間に標的が動く可能性は十分にある。

DARPAが開発したEXACTO(Extreme Accuracy Tasked Ordnance)システムは史上初の誘導小口径弾で、ライフルの精度と射程距離に革命を起こすことを目的に開発された。弾道計算時間を短縮させ、射撃を補正をすることで個々の狙撃手の射程距離を拡大し、狙撃手の有用性と安全性を向上させる弾丸だ。

EXACTOはスラスターや制御機構を組み込んだ50口径弾と標的の位置と動きを認識する光学誘導システムと連携させた最先端の狙撃システム。このシステムは、機動性のある弾丸とリアルタイム誘導システムを組み合わせ、発射された弾丸にターゲットの位置情報を届けることで、標的に対し弾丸の進路が外れたとしてもそれを補正し進路を変更、風などの影響も修正、確実に敵を捉えることができる。狙撃手の負担を軽くするだけでなく、狙撃手の能力差を高いレベルで平均化でき、練度の低い狙撃手でも高い狙撃能力を擁することができる。

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中口径誘導弾MAD-FIRES

DARPAはロッキードとレイセオンとMAD-FIRES(Multi-Azimuth Defense Fast Intercept Round Engagement System)の呼ばれる中口径の誘導弾の研究も行っている。これはミサイルのような誘導性、精度と、弾丸の速度、速射能力、および弾薬容量を組み合わせたEXACTOの中口径版だ。海軍からの依頼になり、主に艦船に搭載されるMk38 25mm機関砲(写真上)への使用を想定している。Mk38は大容量の弾倉容量を持ち、誘導ミサイルよりも持続性が高く、毎分200発の火力をほこる。MAD-FIRESを装備した艦船であれば、同時に数十の標的を攻撃することを可能にする。

EXACTO、MAD-FIRES双方ともまだ実用化にはいたっていない。

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https://www.darpa.mil/program/extreme-accuracy-tasked-ordnance
https://www.darpa.mil/program/multi-azimuth-defense-fast-intercept-round-engagement-system

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