ディアーガン|CIAが開発した鹿銃

ディアーガン|CIAが開発した鹿銃

第二次世界大戦時にレジスタンス向けに開発されたFP-45リベレーター。失敗作とされた銃だったがCIAはベトナム戦争時に後継銃を開発する。それが”ディアーガン(Deer gun)”だ。映画『メン・イン・ブラック 』に出てくる光線銃のようなフォルムだが、これでも9mm口径のピストルだ。

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ゲリラのために開発された銃

時はベトナム戦争時。南ベトナムを支援するアメリカは北ベトナムに対抗するゲリラのために武器の供給を検討する。そこで海外での諜報や破壊工作を担当するCIAは第二次世界大戦時にレジスタンスを支援するために開発した小型拳銃「FP-45リベレーター」に目を付ける。100万挺製造されたこの銃はほとんど使われずにCIAが引き取っていた。その在庫を供給しようと考えたが大量にあった在庫は1947年8月に全て廃棄されていた。そこで、FP-45リベレーターと同じ小型で低コスト、早急な大量生産が可能という同じコンセプトのもと開発が始まる。

一挺当たり4ドル

ディアーガン

プレス加工の鋼フレームを用いたFP-45はとは違いディアーガンはアルミニウム鋳造のフレーム、プラチックからなる12個の部品を用いた超シンプルな設計を採用。全長は僅か127mm、重量は340gしかない。American Machine&Foundry社が30万ドルで1000丁の銃を製造する契約を獲得し、1962年にそれを完成させた。最終的なコストは1挺あたり3.95ドル(現在の価格で33ドル相当)と2ドルのFP-45と比べて単価は倍になったが、それでも超低価格を実現した。銃にはシリアルマークや製造番号など一切のマーキングは排除された。これは武器の追跡を防ぎ、アメリカの一切の関与を隠すためだ。

ディアーガン説明書

性能・使い方

シンプルな設計のディアーガンは従来の拳銃にあるような機能の多くを排除。マガジンはもちろん排莢システムもない。装弾するにはバレルを外し、弾丸をバレルに装填して戻す、後ろのコッキングレバーを引き、引き金を引くと発砲される。連射はできず単発。発砲したらバレルを外し、銃口に棒を刺して空の薬莢を押し出し排莢、そして、次の弾丸を装填ということを繰り返す。後ろのコッキングレバーには暴発を防ぐための専用のストッパーが付いている。

ディアーガン設計図

バレル長は僅か48mm。FP-45リベレーターの時はバレルにライフリングがなく、精度が著しく悪かったがディアーガンではライフリング施され、そこは改善された(一部ライフリング無しも製造された)。弾丸はピストル弾で広く一般的に使われる9×19mmパラベラム弾。グリップに3発の弾丸を収納できるがマガジンではなく、あくまでここから取り出す形だ。

ほとんど使われずに破棄

ベトナム戦争は米国とソ連を始めとした東西の代理戦争ではあったが、当初、米国の関与は秘密裏だった。しかし、次第に米国の関与は拡大し、1965年には米軍が全面的に参戦。1964年から供給していたディアーガンはお役御免に。結局、生産されたのは最初の1000挺のみで、南ベトナムに届けられたのは150挺のみ。ほとんど使用されることなくディアーガンは廃棄されおり、その有効性に関する情報はほとんど残っていない。

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Source 
https://www.guns.com/news/2014/04/23/cias-deer-gun-dirty-deeds-done-dirt-cheap

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