雷に弱かったF-35ライトニングII、雷規制解除

雷に弱かったF-35ライトニングII、雷規制解除
USAF

米国防省はF-35AライトニングII戦闘機の雷規制を解除し、2020年以来初めて雷雨時の飛行を許可した。

sponser

ブレイキング・ディフェンスの報道によれば、F-35ライトニングII共同計画事務局(JPO)のラス・ゴエメール報道官は報道陣の取材に応じ、国防総省はF-35Aに搭載されている雷防護システムのハードウェアとソフトウェアの修正した後、3月19日に正式に雷雨時での飛行制限を解除したと述べた。

sponser

雷に弱かったF-35ライトニングII

F-35にはご存じのように日本語で「電光を発する、稲妻が走る、稲妻のような」を意味する”ライトニング(Lightning)”とい名が付いている。しかし、その名前に反して、F-35ライトニングIIは雷に弱いという弱点を持っており、雷雨、落雷の危険性がある天候下での飛行が度々規制されていた。F-35の燃料パイプには飛行中に可燃性ガスが溜まる。このガスは雷によって発火する危険性があり、この対策として、F-35には機内不活性ガス発生システム(OBIGGS)が採用されている。これは窒素を豊富に含む空気を燃料タンクに送り込んで可燃性ガスを不活性にすることで、落雷時の機体の爆発を防ぐシステムだ。しかし、2010年代初頭、国防総省は独立兵器試験官が燃料タンクを安全にするのに十分な窒素富化ガスが供給されていないことを発見したため、F-35に雷雨下での飛行制限を課した。 OBIGGSが再設計された後、JPOは2014年、雷規制を解除。しかし、その6年後、ユタ州ヒル空軍基地のオグデン兵站複合施設の整備担当者が定期メンテナンス中に最新のOBIGGSで不活性ガスを運ぶチューブの問題を発見、24機のF-35Aの初期検査中に十数機から同様のチューブの損傷を発見した。チューブの損傷によって緊急時にシステムが適切に機能しないのではないかという懸念から、F-35Aは2020年6月に再び雷規制が課せられ、雷から40マイル(64km)以内での飛行が禁止された。

sponser

ちなみにこの問題は、短距離離着陸機のF-35Bや艦載機仕様のF-35Cでは発見されなかったもので、地上配備型のF-35Aのみの問題になる。国防総省はOBIGGSの欠陥を排除するため、2020年にタイプに関係なく、すべてのF-35の納入を一時停止している。その後、製造ラインの問題は解決されたとして2020年11月に納入を再開しており、それ以降に納入されたF-35AはOBIGGSの欠陥が修正されており雷規制はなかった。今回の雷規制の解除はそれ以前に納入されたF-35Aになり、OBIGGSのハードウェア設計とソフトウェア更新を行い、実験室テストと飛行テストを実施。空軍空戦司令部は声明で、OBIGGSは「広範なハードウェアテストと分析を実施」し、「安全に運用できることが証明されると、距離制限は緩和された」と述べている。

sponser
sponser
雷に弱かったF-35ライトニングII、雷規制解除
フォローして最新情報をチェックしよう!