着陸失敗で注目されたF-35Bの自動射出座席

着陸失敗で注目されたF-35Bの自動射出座席

12月15日、フォートワース海軍航空基地で納品前のロッキード マーチン社のF-35Bが垂直着陸に失敗、機首を滑走路に擦らせ、パイロットがゼロ・ゼロ射出する事故があった。事故原因はまだ、調査中だが、この事故でF-35Bの自動射出座席が作動したのかどうかが注目されている。

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フォートワース海軍航空基地にはF-35を製造するロッキード・マーティン社の工場が隣接しており、この日は米海軍に納期前のF-35Bの飛行試験が行われていた。F-35Bがホバリングから垂直着陸を行ったとき、ランディングギアが滑走路と触れた際にバウンド。それで機体が前方に傾き、機首、そして右翼が地面に接触、前輪は破損し、機首をこすりながら回転を始めた。そして、その状態から、パイロットは射出座席で、高度0、速度0の状態、いわゆるゼロ・ゼロ射出でベイルアウトした。幸い、パイロットには怪我はなかった。

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F-35Bに採用されている自動射出座席

ここで注目されたのがF-35Bの射出座席だ。F-35Bの射出座席はF-35A、F-35Cにはない”自動射出座席”が採用されている。通常の射出座席はパイロットが危険を判断し、自身でレバーを引いてベイルアウト(緊急脱出)するが、F-35Bの射出座席は自動でそれを行う。これはF-35Bのホバリングのシステムに関係している。

F-35Bの特徴に一つである「STOVL(垂直着陸)」は実は自動システムで行われており、着陸ポイントに着いて、STOVLボタンを押せば機体中央の大型リフトファンが作動、機尾のステアリングノズルが下を向きホバリングを始める。この2つの動力は共通のドライブシャフトによって連携しており、この2つが連動することで正確なバランスで揚力が得られ、ホバリングができる。着陸場所など微調整はパイロット側で引き続き操作する必要はあるが、着陸までの機体の姿勢制御やエンジン出力のスロットル制御は全て自動で行われる。だが、ホバリング状態の時にリフトファンやドライブシャフトに異常が発生、出力を失うと、機体は揚力を失い、一瞬でバランスを崩し、機首が前に倒れる。今回の事故がその典型だ。

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ソ連の垂直離着陸機Yak 38の事故

そうなった時、パイロットが脱出するまでの猶予は2秒しかないとシミュレートされている。しかし、たった2秒ではどんな超人でも危険を判断し、自分で射出座席のレバーを引くことは無理とされている。そこで考案されたのが、自動射出座席で、コンピューターが異常を判断して、パイロットをベイルアウトさせる。今回は高度が低く、機体をこする程度だったので脱出の必要も無いように見えたが、あれがもう少し、高度が高いところで揚力を失っていた場合、機体は真っ逆さまに機首から地面に激突する可能性があった。

ただ、今回のベイルアウトが自動なのか、パイロットの判断なのかは明らかにされていない。自動射出はパイロットが準備できていない状況で行われるため、脱出体勢がとれないので骨折や脊椎損傷など怪我を負う可能性がある。本来であれば自身でレバーを引いてベイルアウトを行うのがベストである。

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Source

The F-35B Can Eject Its Pilot Automatically

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