ロシアは5月9日、ソ連の第2次大戦の対ドイツ戦勝76年を祝う軍事パレードをモスクワ、赤の広場で行った。昨年は新型コロナの影響で6月に開催されたが、今年は例年通りに行われた。軍事パレードはロシア連邦軍の兵器のお披露目会でもあり、190輌の軍事車両、76機の航空機が登場した。その中で『5つの注目すべき兵器』というのが米国の軍事サイトThe National Intertrestに取り上げられており、その兵器を紹介する。
T-14・T-15アルマータファミリー
2015年以降、戦勝記念パレードのハイライトはロシアの最新主力戦車のT-14アルマータが務めている。T-14は唯一の第4世代主力戦車ともいわれ、NATOの120mmよりも大きい125mm主砲は強力で更に遠隔操作可能な無人砲塔により乗員を保護、アクティブ防御システムを備えた高い防御能力など最新の機能を備えている。これらは各国の主力戦車より機能面で抜きんでており、ロシア陸軍の誇る次世代戦車になる。このT-14の「アルマータ」共通戦闘プラットフォームの車体を使った車輌としてT-15歩兵戦闘車(IFV)がある。T-15の重量は48トンとほぼT-14と同じで、世界で最も重い歩兵戦闘車であり、武装には30mm機関砲、7.62mm機関銃、9M133対戦車ミサイル4基を備えるなど協力な武装を備え6名の兵員を輸送する。陸上部隊としては世界最強といわれるロシア陸軍を代表する車輛になる。
2020年現在、最強の戦車はどれかといわれると、それはおそらくロシア連邦軍のT-14アルマータ(Armata)だ。各国の…
Uran-9無人戦闘車両
ロシアはドローンやロボットといった無人兵器の分野においても先行しており、ロシアが開発する無人戦闘車を代表するのが「Uran(ウラン)-9」だ。無人航空機は既に多くが実戦投入されているが、無人戦闘車の実績はまだ少ない。ウラン9は2019年1月にシリア紛争に投入されるなど、既に実戦経験を積んでいる。武装はT-15とほぼ一緒で30mm機関砲、7.62mm機関銃に対空・対戦車ミサイルを搭載できる。しかし、車両サイズは全長5.6m、重量12トンとT-15と比べ小型・軽量サイズで輸送が簡単。速度は35km/h、200kmの走行能力を有している。現在は遠隔操作で運用しているが、将来的にはAIによって操作、攻撃判断まで行う完全自律型致死性兵器を予定しているとも言われている。
RS-24 Yars 大陸間弾道ミサイル
ロシアの戦勝記念パレードには冷戦時代から続く巨大で威圧感のある大陸間弾道ミサイル(ICBM)は必要不可欠だ。RS-24 Yars(ヤルス)はロシアの最新のICBMでありロシアが現在運用する兵器でもっとも強力な武器だ。2000年から配備されてきたRT-2PM2 トーポリMから置き換えられるICBMになり、2010年より配備を開始。1基のミサイルに大気圏再突入可能な3つの弾頭を搭載している。もちろん核弾頭を搭載可能で、核弾頭は1発あたり約150〜200キロトンの威力を持つ。その最大射程は1,0500km。発射方式は固定のサイロ式と移動式発射台の2つがある。
Kh-47M2 キンジャール 極超音速ミサイル
各国で開発が進む極超音速ミサイル。この分野においてもロシアは先行しており、既に実戦配備されている。Kh-47M2 キンジャールは航空機に搭載可能な音速ミサイルになり要撃・局地戦闘機であるMig-31や爆撃機Tu-22M3に搭載されている。最大飛行速度はマッハ11~13とされており、航空機の飛行範囲も含んだ攻撃範囲は2000~3000kmになる。移動する地上及び海上の目標を攻撃でき、その速度から迎撃は難しいとされているが、西側はその能力に懐疑的な意見を述べている。
S-400 トリウームフ 防空ミサイルシステム
ロシアの誇る防空ミサイルで中国、インド、トルコが購入するなど、ロシアの海外武器輸出の柱でもある。第2世代フェーズドアレイレーダーを使った長距離防空システムで前身のS-300よりもはるかに高性能になっている。レーダーの探知範囲は600kmと広範囲を検知、400km先の標的を迎撃できる。積極的に標的を探し出し、有人航空機、ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルなど最大100個を同時に検知、追跡します。複数のターゲットに同時攻撃する能力も備え、対象や距離に応じて4つのミサイルを使い分けることもできる。トルコはS-400を購入したため、米国からF-35戦闘機が購入できなくなった。