フランス軍事省のフロランス・パルリ軍事大臣は11月25日から開催された防衛フォーラム”2021 Defense Innovation Forum”で元ジェットスキーのチャンピオンで発明家のFranky Zapataによって開発された、空中移動可能なパーソナルエアモビリティの「FlyBoard AIR(フライボード・エアー)」をまもなくフランス軍特殊部隊内において、採用に向けてテストを行うことを表明しました。
2019年のパレードに登場
Fier de notre armée, moderne et innovante. pic.twitter.com/DQvIfPolQf
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) July 14, 2019
フライボードは2019年7月14日にパリの凱旋門で行われたフランス共和国設立を祝う記念日「パリ祭」のパレードにおいて、フランスが開発する軍事技術として登場。ライフルを手にした特殊部隊員が空から現れ、まるで映画の『アイアンマン』のように自由自在にシャンゼリゼ通りの上を空を飛ぶ様子は一躍話題になります。この時から、フランス軍がこのフライボードを軍事活用することは見て取れました。実際、フランス軍事省は2018年からフライボードの開発元のZAPATA社に開発資金を援助しています。
2019年に登場した際のスペックは5つのエンジンで最高時速200km/h、高度3,000mまで飛行できるという性能でした。同年8月に幅34kmのドーバー海峡を25分で渡りきるも、最高時速で1度に飛行できるのは僅か10分程度になります。軍事採用する上ではこれは大きな課題であり、燃費効率が悪く100kmの移動に200リットルもの灯油を必要とします。さらに騒音が大きく軍事任務に使用する上では目立ちすぎます。軍で採用するにはこれらの課題を解決する必要がありましたが、これらの改良に目途がたち、実施されたことで特殊部隊でのテストが決定されました。
フランス特殊作戦コマンドはフライボードを「偵察・潜入・脱出任務の遂行、飛行ロジスティクスプラットフォームとしての利用、パトロール時間の短縮・効率化、さらには攻撃時の使用」といった複数のタスクをこなすプラットフォームとして期待しています。 パーソナルエアモビリティとしてはイギリスのGravity Industriesのジェットパック・アイアンマンスーツも有名ですが、このスーツとは違い、両手が使えるというのがフライボードのメリットであり、飛行しながら手に持ったライフルで攻撃が可能です。
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Source
https://www.zapata.com/en/flyboard-air/
https://www.thedefensepost.com/2021/12/01/france-zapata-flying-platform/