各国の軍が検討を進めるGravity Industriesのジェットパック・アイアンマンスーツ

各国の軍が検討を進めるGravity Industriesのジェットパック・アイアンマンスーツ
Royal Navy

映画『アイアンマン』やアニメ『幼女戦記』のように人が自由自在に空を飛び戦う時代が直ぐそこに近づいている。イギリスのGravity Industries(グラビティ・インダストリーズ)社が開発するジェットパック・アイアンマンスーツ「Gravity Jet Suit(グラビティ・ジェット・スーツ)はイギリス海軍やオランダ海兵隊で運用試験が進められており、高い評価を得て、実用化へ向けて、直ぐそこまでの段階に来ている。

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Gravity Jet Suit

今年に入って、オランダ海兵隊、そしてイギリス海軍・イギリス海兵隊がGravity Jet Suitを装着した兵士が航行中のボートから船へ飛び移る動画を公開した。飛行は非常に滑らかで、簡単に船に飛び移る様子が映し出された。飛行する姿はアイアンマンより、それこそ『ドラゴンボール』の舞空術のようにも見える。スーツは外骨格スーツのような見た目で、パイロットの両手には、バランスとステアリングに使用されるスラスターが装着されている。後ろにはメインスラスターがあり、パイロットを空中に向かって押し出す。出力は1000馬力と戦車並みのパワーだ。飛行速度は88.5km/h、最大速度は136.8km/hを記録しており、高速で移動することができ、ヘリのようにホバリングも可能。スーツの総重量は27kgと思ったほど重くなく、兵士のフル装備重量と然程変わらないので兵士は歩行時でも然程、苦にならないだろう。燃料にはディーゼルまたはジェット燃料のいずれか使う。飛行時間は今のところ5〜10分と短かいが、重量を考えるとまだ燃料タンクを増やす余地はありそうだ。燃料とエンジンの状態の情報は、ヘルメットのヘッドアップディスプレイを介して常にパイロットに表示される。

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軍での主な用途

ジェットスーツの用途は、主に海上から標的船のあらゆる場所に迅速なアクセスを提供することだ。臨検やハイジャックされたタンカーなどに対し迅速な対応を可能にする。

通常、船に乗り込むには接舷し、タンカーであればロープや梯子掛けたりと移乗には時間も手間もリスクも伴う。ヘリで空中から侵入する方法もあるが、目立ち、その上ヘリを危険に晒すことにもなし、ロープ降下中は無防備になる。ジェットスーツはこれらの課題を解決することができる。先行して乗り込み、侵入個所を確保、梯子をかけて後続部隊の侵入を援護する。ユニットで使えば多方面からアプローチができる。両手のスラスターは着脱が簡単で、船に乗り込んだあとは直ぐに武器に持ち替えることができる。

欠点がある

ただ、ジェットスーツにはまだいくつか欠点がある。まず、飛行音がデカいことだ。タンカーなど大型船ならいいが、小型、中型の船舶の場合、敵にばれずに隠密に侵入ということは難しい。次に飛行中は両手がふさがる点だ。武装化、ライフルを持つ船員がいる船の場合、飛行中に攻撃されても応戦することができない。もし、敵にばれれば彼らは格好の的になる。高速移動が可能だが、上陸するには減速しなくてはならない。また、飛行時間も短いので時間的余裕も少ない。現状は武装化した船に対してはあまり役に立たないと思われる。

ジェット・スーツはまだ発展途上であり、用途についてはまだまだ検討の余地はある、それでもこのスーツには余りある魅力がある。

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