GAU-5/Aはアメリカ空軍のサバイバルキットに収納されている銃で、パイロットが自衛の為に持つM4スタイルのカービン銃だ。
撃墜された時に使う銃
戦闘機が撃墜された際、パイロットは墜落前に射出座席で脱出する。脱出後は救助が来るまで待つか脱出ポイントまで移動する必要がある。しかし、撃墜される時は敵を攻撃、偵察している時になり敵の領空内であるケースがほとんど。つまりパイロットは敵陣地の真っ只中に降下することになる。そこで機内には敵から身を守るために”Aircrew Self Defense Weapon:ASDW(搭乗員用自衛火器)といわれるサバイバル銃器が備え付けられている。
狭いコクピットに収まるライフル
ご存じのように戦闘機のコクピットは狭い。この狭いコクピットのため、パイロットの持つ武器は拳銃やナイフ、または短機関銃とコンパクトな銃が主流だった。しかし、米空軍ではパイロットの自衛の為にもっと有効的な武器を持つべきだとし、米陸軍や海兵隊と同じM4カービンライフルをベースにした『GAU-5/A』を2018年6月に採用した。
通常のM4カービンは全長850mm、重量2860gだが、GAU-5/Aのサイズは通常のM4カービンと同サイズになり、弾も5.56mm弾を使用する。しかし、コクピットに収納するにはこの全長の大きさは邪魔になる。
2つに分解
GAU-5/Aはクイックコネクタのバレルと、武器の上部および下部レシーバーに取り付けられるハンドガードの2つの主部品からなる。2本のピンがM4のバレルとレシーバーを分解するという簡単な設計になっている。ストックは伸縮式になり、ピストルグリップは後方に折り畳むことができる。そうやって分解してコンパクトにしたGAU-5/Aを収納している場所はコクピット座席のシートの中になる。脱出する際はシートもろとも射出されるので、一緒にGAU-5/Aも放出される形だ。
シートから取り出して組み立てに要する時間はわずか30秒未満。30ラウンドのマガジン4つもセットになっている。光学機器の類は一切付いておらず、標準の照準器を利用する形になる。この状態でも200m先の人間サイズの標的を攻撃できる設計になっている。
米空軍は2020年1月までに2700挺のGAU-5/Aを配備している。