ドイツ、ウクライナへの重戦闘車両の供給停止へ

ドイツ、ウクライナへの重戦闘車両の供給停止へ
Bundeswher

ドイツはウクライナにレオパルト2A6戦車、マルダー歩兵戦闘車、Pzh2000自走榴弾砲といった重戦闘車両を供給しているが、ドイツ政府は今後、これらの兵器は供与しない方針であると現地メディアは報じている。

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政府文書を引用したビルト紙の報道によると、ドイツは今後、ウクライナに重戦闘車両を送らないという。ロシアの侵攻当初こそ、兵器の供与を渋ったドイツだが、現在はアメリカやポーランドに次ぐ、武器供与国になり、18両のレオパルト2A6戦車、60両のマルダー歩兵戦闘車、14両のPzh2000 155mm自走榴弾砲、そして、先月9月にはデンマーク、オランダとの共同プロジェクトであるレオパルト1戦車80両を供与している。また、マルダーは最終的に計140両を供与予定であり、まだ半数以上が未納入、Pzh2000に関しては先日、12両の追加供与を発表している。しかし、ドイツ政府から供与される重戦闘車両はこれで最後となる。ドイツはレオパルト2戦車をまだ300両ほど保有しているが、追加供与の予定は一切ない。歩兵戦闘車と自走榴弾砲も残りのマルダーと追加のPzh2000が最後と言われている。ドイツ国防省はウクライナがすぐに反撃を成功させられるとは考えていないとビルト紙は報じている。

ウクライナは2023年に西側からレオパルト2、チャレンジャー2といった主力戦車、M2ブラッドレー、マルダー、CV90といった歩兵戦闘車の供与を受け、同年6月から大攻勢を試みたが、ロシア軍の防衛ラインを突破するに至らず、戦略目標であったメルトポリの制圧に失敗。西側製兵器にも多大な損害を出した。同年秋にはゼレンスキー大統領はその失敗を認めおり、東部戦線では苦戦が続いている。

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ビルト紙によると、最近、欧州を歴訪したゼレンスキー大統領はドイツのショルツ首相に2つの重要な要請をした。一つはドイツのタウルス巡航ミサイルの供与と、供給された兵器をロシア国内の戦略目標に使用することの承認。二つ目はロシアに対する安全保障を保証したNATO加盟プロセスの加速だ。ビルト紙は、これらの要請はベルリンではあまり歓迎されなかったと報じている。ショルツ首相は要請を全面的に拒否したわけではないが、肯定的な態度も示さなかった。ちなみにNATO兵器によるロシア領内への越境攻撃はオランダ、イギリス、フランスなどが承認している。アメリカも現在、承認する方向で検討に入っていると報じられている。

重戦闘車両の供与停止はドイツがウクライナを見限ったともとれなくもないが、ショルツ首相は10月11日にベルギー、デンマーク、ノルウェーと共同のウクライナ援助パッケージを発表している。援助には、IRIS-Tおよびスカイネックス防空システム、ゲパルト戦車といった防空兵器。戦車、榴弾砲、対空砲に使用する砲弾。ドローン、レーダー装置が含まれる。防空兵器が多いが、9月にも新たにパトリオットミサイルを供与しており、防護面については引き続き手厚く支援していくようだが、ロシアへの攻勢を強めるような兵器の支援は行わいことが伺える。
ただ、ドイツから完全に攻撃兵器の供与が無くなったわけではない。ドイツの軍需企業ラインメタル社はウクライナ国内に兵器工場を建設中であり、同社含め、KNDSといったドイツの軍需企業は個別にウクライナと契約し、兵器生産を進めている。ドイツからの供与がなくなるのはあくまでドイツ連邦軍の備蓄のみであり、軍需企業が新たに生産し、ドイツ連邦軍に籍を置かない兵器は対象とはならない。

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