フランス国家憲兵隊治安介入部隊こと「GIGN」。このフランス国家警察の特殊部隊には恐ろしい伝統がある。防弾ベストを着た仲間を撃つ「Fire of Trust(信頼の射撃)」といわれる射撃訓練だ。
入隊するための試練
🔴 14 Juillet, le défilé@GillesBouleau, "confiant et en même temps mort de trouille", se fait tirer dessus par le GIGN (pour un exercice)
— TF1Info (@TF1Info) July 14, 2024
▶️ #14JuilletTF1 pic.twitter.com/3Ysv4XwD6D
GIGNはフランス警察の対テロ特殊部隊。しかし、警察組織でありながら、海外での活動も許されるなど特殊な位置づけで、実際、自国民の救出にアフリカに派遣されたこともある。いくつかあるフランス警察特殊部隊でも最もエリートが集まっているとされ、警察の中でも最も入隊が難しい部隊だ。
基本は志願制だが、志願するには憲兵隊での5年以上の勤務経験が必要。そして一週間に及ぶ過酷な選抜試験があり、そこで振るいに掛けられる。選抜試験に合格すると14か月に及ぶ過酷な訓練が始まる。訓練では射撃、体力、戦闘といったことから精神力、自尊心、自制心なども試される。そして、訓練の終わりで新隊員になる前に待ち受けるのが「Fire of Trust」だ。
police-nationale.netフランス国家憲兵隊治安介入部隊「GIGN」は国家憲兵隊の特殊部隊だ。GIGNはフランス語のを”Groupe d’intervention de la gendarmerie national[…]
隊員の証”マニューリンMR73 リボルバー”で撃つ、撃たれる
卒業間近の新隊員にはGIGNの隊員の証として回転拳銃の「マニューリンMR73 リボルバー」が手渡させる。これは1994年のマルセイユのハイジャック事件でも活躍した銃で、GIGNのシンボル。隊員の証としてこの.357マグナムの拳銃が手渡させるのが伝統だ。しかし、この銃を受け取って終わりではない。最後にこの銃で行うのが「Fire of Trust」になる。防弾ベストを着た仲間を15メートルの距離からベストの的めがけて実弾で撃つのだ。弾が外れれば隊員は大けが負い、頭に当たれば即死する。そのようなプレッシャーの中、仲間を撃たなければならない。撃たれる側も恐れて動いたり逃げてはいけない。これを拒否すれば、GIGNへの入隊を拒否することになり、14カ月の訓練が全て無駄に終わる。
ここまで来た隊員の射撃技術は問題ない。なぜならGIGNの訓練所は世界最高の射撃学校と知られている。では、なぜ、こんなことをするのだろう?
仲間を撃つ理由
まず、この行為は射撃技術といった類のもの試すことが目的ではない。絶対に失敗しない、失敗するはずが無いという強い自信を持っていること。そして、撃つ側と撃たれる側に分かれることで、隊の仲間を信頼するという確固たる相互信頼を示すことが目的だ。
撃つ側
彼は私を信頼していて、恐怖で動いたり、私が発射した瞬間に反射することはない
撃たれる側
私を狙っている彼を信じる。私のように訓練した彼が目標を外すことはない
そうやって、射撃が無事成功して晴れて、GIGNの正式隊員となれる。ちなみに狙撃手はスナイパーライフルで行い、距離はもっと遠い。ライフル弾は強力すぎるのでボディは撃たずに周りの風船を撃つようだ。
フランス特殊部隊GIGN ~エールフランス8969便ハイジャック事件~(字幕版)