ドイツ軍特殊部隊がMP5 SDサブマシンガンの後継にHK437ライフルを採用

ドイツ軍特殊部隊がMP5 SDサブマシンガンの後継にHK437ライフルを採用
©Heckler&Koch

ドイツ連邦軍の特殊作戦部隊はMP5 SDサブマシンガンの後継に.300 AAC Blackout口径のHK437ライフルのサプレッサーモデルを新たに採用したとドイツメディアが報じました。

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ドイツ紙ハルトプンクトによれば、ドイツ連邦軍は自国の大手銃器メーカーであるヘッケラー&コッホ(H&K)社に同社が開発製造する.300 ブラックアウト口径 (7.62×35mm) のHK437ライフルの納入を依頼。事情に詳しい関係者によると、2024年2月中旬に契約は締結されたという。調達プロジェクト自体は2022年秋ごろから始まっていた。このプロジェクトはドイツ連邦軍特殊部隊(SSO)が現在配備するMP5サブマシンガンのサプレッサー(サイレンサー)モデルであるMP5 SDを置き換えるものになる。SDは「Schalldampfer」の略で、ドイツ語でサプレッサー(消音装置)を指し、サプレッサーを内蔵した消音モデル。今回、SSOが採用したHK437も同じくサプレッサーを内蔵した消音モデルを採用、消音性を維持しながら、MP5の9mm口径からより強力な銃へと置き換えられることになる。SSOは初回契約で、この消音機能を備えたHK437の基本セット176個を受け取ることになるが、ドイツ連邦軍装備・情報技術利用局によると、部隊全体に配備するには合計988セットが必要だ。

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HK437

©Heckler&Koch

HK437はH&K社が開発製造するHK433ライフルの派生モデル。HK433はNATO基準の5.56×45mm口径だが、これを.300 AAC Blackout口径 (7.62×35mm) にしたのがHK437だ。HK433自体は、ドイツ連邦軍の主力小銃であるG36とHK416ファミリーのアサルトライフルの機能を組み合わせ、2つの利点を取り入れたガスショートストロークピストン方式、モジュール式のアサルトライフルで、G36およびHK416の使用経験があるオペレーターが引き続き違和感なく使用できるように設計されている。アンビシステムを採用しコントロールは全て両利き。上部レールはG36で使われた強化プラスチックをやめ、高強度アルミニウムとスチールに変更した。.300ブラックアウトモデルでは改良されたボルト、専用のマガジンを設計するなど最適化されている。SSOが採用する9インチバレルバージョンの重量は弾薬なしで3,140g。ストックは伸縮式、サプレッサーを除いた全長は537mm~795mm(ストック伸長時)。

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.300ブラックアウト弾は拳銃弾と小銃弾の中間弾薬という位置づけで、高速弾とサプレッサー使用時に高い静音性を発揮する亜音速弾の2つが開発されている。射程は短いが威力が高く、市街地などでは二次被害軽減しながらも高い制圧力を保持する。SSOは最大200mの交戦距離での使用を想定し、この口径を採用している。 

近年、テロリストも防弾ベスト装備するなど、9mm拳銃弾では制圧することは難しくなってきており、テロリストや武装組織を相手にする特殊部隊においては9mm口径のサブマシンから5.56mm、.300ブラックアウトとライフル口径の銃の切り替えが増えている。

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