ドイツの銃器メーカーであるCGヘーネル社はドイツ陸軍の次期小銃の競争においてライバルのヘッケラー&コッホ(H&K)社の特許を侵害しているとして敗れました。その結果、同社がこれまで国内に納入製造してきた同アサルトライフルを回収し、破壊をしなければなりません。
Heckler&Kochドイツ陸軍はG36に代わる新しいアサルトライフルとして国内メーカーのヘッケラー&コッホ(Heckler&Koch:H&K)社 の HK416A8を選択。H&K社はヘーネル(C[…]
ドイツ陸軍はG36に代わる新しいアサルトライフルとして2020年9月にヘーネル社のMK556を採用する決定を下しました。しかし、その決定にライバルであった同じくドイツの国内銃器メーカーであるH&Kが異議を唱えます。論点となったのがMK556が採用する銃器内に浸透した水を逃がす設計原理であるオーバーザビーチです。これがH&Kの特許を侵害しているとして提訴、約2年に及ぶ法廷闘争の末、裁判所はヘーネル社が特許侵害を行ったことを認め、H&Kが勝訴します。結果、MK556の次期小銃の決定は覆され、H&Kが開発製造するHK416A8がドイツ陸軍の次期小銃として選択されます。
特許侵害を行ったことが認められたことにより、デュッセルドルフ裁判所はヘーネル社にMK556の破棄を命令。MK556のベースとなっているCR223ライフルも同様に特許を侵害しているため、こちらも破棄せねばなりません。CR223は既に販売されているモデルでドイツのザクセン州警察とハンブルグ州警察が合わせて1000挺以上を購入していました。同社はこれら購入者から同銃を回収して破棄せねばなりません。もちろん、購入者や販売元への補償も伴います。さらにCR223の販売によって得られてた利益について、同社はH&Kに報告せねばならず、場合によってはH&Kから損害賠償請求される可能性があります。
ヘーネル社は第一次大戦中はGewehr 98を製造し、第二次大戦時には世界初の自動小銃Sturmgewehr 44を開発するなど歴史と実績がありましたが、戦後は猟銃やスポーツライフルに特化していました。しかし、2008年に軍事用銃器に再参入し、ドイツ軍にスナイパーライフルなどを納入していました。社員120人と銃器業界では中小企業に分類され、今回の事態は同社にとっては存続も危ぶまれる事態ですが、現在はUAEの軍需企業”カラカル社”の傘下あります。
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Gerichtsurteil: C.G. Haenel muss CR223 zurückfordern und vernichten