ラファール100機買えば、フランスは技術供与とライセンス生産を認可する

ラファール100機買えば、フランスは技術供与とライセンス生産を認可する
©dassault aviation

インドネシアはフランス製の戦闘機ラファール42機を発注しているが、同国はラファールのサプライチェーンに加わる事を期待しており、技術供与と国内生産を求めている。フランス側は計100機のラファールを発注すれば同意すると伝えられている。

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インドネシアは2022年2月に老朽化したF-16とSu-27に代わる次期主力戦闘機としてフランスからダッソー社製のラファール戦闘機42機を購入する事に合意した。その後、2022年9月に最初のバッチ分6機を発注、2023年8月に二回目の18機を発注、そして、2024年1月に最後の三回目のバッチ分となる18機を発注し、計42機の3段階の発注を完了し、同国は東南アジアにおけるフランス製武器の最大の買い手となった。最初のバッチは2026年にインドネシアに納入されると予想されており、最終的には2030年までにすべての戦闘機が納入される予定だ。インドネシアは42機のラファールの購入のために、約81億ドルを費やしたと推定されている。

ただ、インドネシアの野心はこれで終わりではない。インドネシアは大量発注の見返りとして、国営企業のインドネシア航空宇宙公社(PTDI)をラファールのサプライチェーンの参加、つまり、技術移転と国内生産をフランスに求めたとされている。これに対し、フランスと開発生産元のダッソー・アビエーション社は発注総数を100機に増やせば、それに応じる事に同意したとインドネシアメディアは報じている。つまり、現在発注済みの42機に加え、追加で58機を追加すれば、インドネシアはラファールの技術を手に入れ、国内生産が可能になる。

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実はフランスは同様の提案をインドにも行っている。インドは現在、空軍に36機のラファールが就役している。また、空母艦載機にラファールMの採用が決定しており、先日、海軍は26機の調達を決定した。インドはこれまでロシア製兵器の最大顧客でライセンス供与を受けて、Su-30MKIの国内生産を行っていたが、ウクライナ侵攻が始まってからはロシア離れが加速。そこにフランスが入り込んでおり、今後もラファールの追加発注が期待されており、インドにとっては100機のハードルはそこまで高くない上に、インドは昔からライセンス供与を受けての国内生産に意欲的だ。

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生産ラインがいっぱいのラファール

フランスが技術供与とライセンス供与を認める背景にはラファールのバク売れがあることが推測される。ラファールはマクロン大統領のトップセールスもあり、売れに売れている。現在、フランス、エジプト、ギリシャ、インド、カタール、クロアチア、アラブ首長国連邦、インドネシア、セルビアの9カ国がラファールを採用し、新規発注、または調達を計画している。2026年から2033年の8年間にかけてダッソー社はフランスに42機、インドネシアに42機、アラブ首長国連邦に80機、エジプトに10機、セルビアに12機の計186機を納入する必要がある。つまり、年間23機以上のペースになる。現在、ダッソー社は年間15機の生産を目標に掲げているが実際は13機に留まっており、2024年も15機生産できるかは不透明だ。さらにここにインド海軍のラファールMが加わる可能性が高い。生産ラインは限界に近付いており、これ以上、受注すれば、ラインがひっ迫、納入遅延が起きれば、信頼を失うことになる。であれば、ライセンス供与して、パートナーの国内生産を認める方向にしたいのかもしれない。ラインが増えれば、更なる受注を加速できる。技術移転についてもラファール自体は1980年代に開発された機体で、初飛行から既に半世紀近く経っている。何度かバージョンアップは行われているが、最新鋭機ではない。フランスは現在、ドイツ、スペイン、ベルギーと共同で次期戦闘機「FCAS(Future Combat Air System)」の開発を進めている。

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