ロシアでIL-76輸送機が墜落、乗っていたの捕虜?S-300ミサイル?それとも

ロシアでIL-76輸送機が墜落、乗っていたの捕虜?S-300ミサイル?それとも

ロシア西部のベルゴロドでロシア軍の輸送機IL-76が墜落した。IL-76はあるものを輸送していたのだが、ロシアとウクライナとで全く主張が異なっている。

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24日午前11時ごろ、ロシア西部、ウクライナのハルキウの北に位置するベルゴロドでロシア軍の大型輸送機IL-76が墜落した。ロシア国防省の発表によれば同機にはウクライナ兵の捕虜65名とロシア軍の乗員6名と同行者3名の計74名が乗っており、乗員乗客全員が死亡した。両軍で192人の捕虜を交換する予定で、IL-76はウクライナに近いベルゴロド州の空港に捕虜を移送する任務に就いており、もう1機も同港に向かっていたという。墜落の原因など、詳細はまだ発表されていない。

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しかし、ウクライナ側は全く違う主張をしている。まず、IL-76が運んでいたのは捕虜ではなく、防空ミサイルシステムS-300であったということ。そして、IL-76はウクライナ軍の防空部隊によって撃墜されたということ。ベルゴロドはウクライナ北部の都市ハルキウから70kmしか離れておらず、ウクライナ軍が保有するパトリオットやS-300防空ミサイルの射程内に入る。実際、墜落する映像をみると、IL-76は墜落途中に尾翼部分が損壊しているようにみえる。また、空中で爆発があったことを思わせる煙が確認できる。このことから、ウクライナ側の主張はうなずける。ウクライナ国防省はこの件について、まだ公式発表はしていない。

では、IL-76は何を運んでいたのかということになる。今回、気になるのがロシア国防省の発表が早かったのと積み荷、犠牲者の数を明らかにした点だ。通常、軍用機の積み荷は明らかにしない。また、国内軍事ブロガーは通常、捕虜は列車やバスといった地上移送が主で航空輸送しないと指摘している。ウクライナ側が主張するようにS-300ミサイルが搭載していた可能性もあるが、ロシア国防省が珍しく死亡者数を明らかにしていることから、実はロシア兵を移送していたのでは邪推している。もし、一度に70名のロシア兵を国内で失ったということであれば、国内世論に与える影響は大きい。3月に大統領選を控えるプーチンにとってはこれは好ましくない。かといって遺体は出てくる。これだけの数の遺体を隠すことは難しい。しかし、IL-76が墜落したのは失態だが、死者の多くがウクライナ人捕虜ということにしておけば、国内批判は多少和らげることができる。実際に乗っていたロシア兵はウクライナの戦線で戦死、または行方不明になったといくらでも後付けが可能だ。ただ、これはあくまでも推測だ。互いに情報戦を繰り広げており、今回はロシア国内での出来事ということもあり、真相が明らかになることはないだろう。

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