
インドネシアは海軍能力強化のため、2024年10月にイタリア海軍から退役した軽空母「ジュゼッペ・ガリバルディ(Giuseppe Garibaldi, C 551)」の購入を検討していると報じられている。
いくつかの海外メディアの報道によれば、インドネシア海軍はイタリア海軍のヘリコプター揚陸艦兼航空母艦「ITS ジュゼッペ・ガリバルディ (C 551)」 の取得に関心を示しているとされる。1985年にイタリア海軍に就役した「ジュゼッペ・ガリバルディ」は2024年12月に新造艦トリエステ強襲揚陸艦(Trieste L9890)が就役する事を受けて、同年10月に退役していた。退役後、間もない事もあり、保存状態は良好であり、インドネシアは海洋作戦能力強化のために購入を検討。この買収が成立すれば、インドネシア海軍最大の艦艇となり、艦隊の運用能力、特に人道支援、災害救援、海上安全保障を含む非戦闘軍事作戦(OMSP)の運用能力が強化されることになる。また、この買収計画には同艦で艦載機として運用されていたAV-8BハリアーII短距離離陸垂直着陸機(STOVL)数機の移管も含まれる可能性があるとされ、インドネシアは戦闘機を搭載する軽空母としての運用も計画しているとされる。
この計画はインドネシアが進めるヘリコプター搭載艦艇4隻、フリゲート艦4隻、ミサイル哨戒艇数隻を含む海軍の必要最小限戦力(MEF)計画に沿ったものとなる。インドネシア国防省は2024年3月イタリアの造船企業フィンカンティエリと多目的洋上哨戒艦(PPA)パオロ・タオン・ディ・レヴェル級2隻の購入を12億ユーロで契約している。この他にもイギリスのBAEシステムズ社が開発建造する31型フリゲート艦、トルコからKCR級ミサイル艇、そして、日本からは三菱造船が建造する巡視船を購入する予定であり、海上能力の強化、艦艇の近代化を図っている。その中でジュゼッペ・ガリバルディはインドネシアの広い海洋領域、飛行場といったインフラが整っていない離島を防衛・監視する上で重要な役割を果たすことが期待される。
ジュゼッペ・ガリバルディ
ジュゼッペ・ガリバルディはイタリア海軍初の空母として1981年に起工され、1985年に就役した。イタリアは第二次世界大戦中に空母「アキラ」と「スパルヴィエロ」を建造しているが建造は途中で頓挫しており、ガリバルディは戦力化された最初のイタリア空母になる。満載排水量13,850t、全長180m、飛行甲板は長さ174m、幅30.5m。GEからのライセンスを受けてイタリアのエンジンメーカー”フィアット・アビオ(現アヴィオ)”が開発したLM2500ガスタービン4基を搭載、 81,000馬力の持続的な出力を生み出し、最高速度は30ノット(55km/h)に達する。20ノット(37km/h)の巡航速度で、7,000海里(13000km)を超える作戦範囲を誇り、海上での長時間・長距離任務を可能としている。
軽空母能力

戦前に定められた空軍法で艦艇での固定翼機の運用が禁止されていた為、ガリバルディはヘリコプター空母として建造されたが、最初から将来的な固定翼機の搭載を想定して、飛行甲板の前方部分15mは航空機の離陸を容易にするため4度の傾斜を持つスキージャンプ式を採用。1989年に空軍法が改正されるとアメリカの垂直/短距離離着陸機AV-8B ハリアー IIを購入、1994年に発着艦に成功し、晴れて、航空母艦としての能力を得る。ハリアーII戦闘機を最大16機の他、SH-3DシーキングやAB212、EH101などのヘリコプターを最大18機搭載できる。2009年に2隻目の軽空母カヴールが就役すると、ガリバルディは空母としての役目を終え、ヘリコプター空母専門に。そして、F-35Bが搭載可能な強襲揚陸艦トリエステの就役に合わせ、2024年10月に約40年に及ぶイタリア海軍での任務を終え、退役した。
Italian Navyイタリア海軍の新造艦であるトリエステ強襲揚陸艦(Trieste L9890)が就役した。同艦は今年10月に退役したヘリコプター揚陸艦ジュゼッペ・ガリバルディの後継艦になり、F-35B搭載可能な2隻目の船と[…]