イランの新しい主力小銃Masaf(マサフ)

イランが新しい小銃Masaf(マサフ)を発表

長年、武器禁輸措置を受けてきたイランはヘッケラー&コッホ社のHK416を模倣したと思われる「Masaf(マサフ)」の開発製造を行っています。Masafは2016年に5.56×45mm、2021年3月に7.62×51mmが発表された新しいアサルトライフルです。このライフルの設計、製造のすべての段階がイラン国内によって行われている純国産のライフルになります。次期主力小銃の候補であり、イラン・イスラム共和国軍に引き渡される予定です。

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見た目はAR系

KH-2002

イランの主力小銃はソ連時代のAKMやイラン革命前はドイツのHK G3をライセンス生産するなど西側の銃も採用していた。近年は中国のNORINKOが開発するM16のコピー品CQの更なるコピーのS.5’56や、それをブルパップ化したKH-2002など、中国よりの装備を揃えてきた。また、特殊部隊向けにはロシアのAK-103を近年採用している。

Masaf

新しく開発されたMasafはロシアのAK系や、中国のQBZ系でもなく、外観は敵対する西側のAR‐15系のライフルの外観を取り入れています。伸縮式のストックにピカティニーレール、ハンドガードには最近の小銃らしくM-Lokが採用されています。今回、開発された銃は完全な国産、オリジナルと謳っていますが敵対する米国のM4カービンライフルや最近人気のHK416を参考に開発していると思われ、ガスシステムにはHK416と同じショートストロークピストン式を採用しており、イラン版HK416と呼ぶ者もいます。ライセンスの取得はできないので完全な模倣かと思われます。

口径に関しては意外なのが5.56×45mmと7.62×51mmを採用している点です。軍事協力関係のあるロシアや中国が採用する5.45x39mmや7.62×39mmではなく、NATO標準の口径を採用しています。これは5.56×45mmのS.5’56やKH-2002。7.62×51mmのHK G3やMGA3機関銃が配備されており、兵站を考慮して5.56×45mmと7.62×51mmが採用されたものと推測されています。

Masafの詳しいスペックは明らかにされていませんが、7.62×39mmの有効射程は日中で最大800m、暗視スコープで600mと公表されており、マークスマンライフル並みの射程を有しています。

イランは2017年6月にも国産小銃「ゾルファガール(Zolfaqar)」を発表するなど国産開発を進めていますが、これも外観がSCAR-Hに似ており、7.62x51mm口径を採用しています。イランは近年、西側で評価の高いアサルトライフルを模倣した銃を開発する傾向が強くなっています。これには、イランが海外から優れた銃器を購入したくてもできない事情があると考えられます。1979年のイラン・イスラム革命以降、イランは米国から経済制裁かけられており、国連からも度々、制裁を掛けられるなか、2007年に国連から武器禁輸措置受けます。これによりイランは長年に渡って外から武器が買えない状況でした。しかし、2015年のイラン核合意に基づき、段階的な制裁解除が始まっており、2020年10月に武器禁輸措置の期限を迎えています。


しかし、米国は引き続き制裁を課し、それに欧州や西側も追随しています。中国、ロシアは期限を迎えたことで武器取引を再開されるとされ、今後、イラン軍の兵器はロシア、中国化が進むと思われます。

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