イスラエルを攻撃したとされるイランの極超音速弾道ミサイルFattah-1

イスラエルを攻撃したとされるイランの極超音速弾道ミサイルFattah-1

イランは1日火曜、イスラエルに180発以上の弾道ミサイルによる大規模攻撃を行った。イスラエル側はほとんどを迎撃したと主張しているが、SNSには複数のミサイルが着弾する映像が上がっている。イランは今回、マッハ10以上のスピードを誇る極超音速弾道ミサイル「Fattah-1」を使用したとされており、イスラエルの強固な防空網を突破して着弾した可能性がある。

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イランメディアの報道によれば、イランは今回の攻撃に国産の極超音速弾道ミサイル「Fattah-1(ファタハ)」を使用したと報じた。ファタハはイランの軍事組織「イスラム革命防衛隊」が開発した極超音速で飛行する中距離弾道ミサイルで、2023年6月に公開されたばかりの最新兵器。極超音速兵器の定義は音速の5倍”マッハ5”以上で飛行する物を指すが、ほぼすべての弾道ミサイルは大気圏層から目標に向かって急降下する際に極超音速に達し、ほとんどはマッハ5以上で飛行する。防衛省のレポートによれば射程1万kmの大陸間弾道ミサイル(ICBM)は速度マッハ20に達するが、射程1000km前後の中距離弾道ミサイルのスピードはマッハ9前後になる。Fattah-1の射程は1400kmとされており、それと照らし合わせれば、最大速度はマッハ10前後になるが、イラン側の発表によればFattah-1の最大速度はマッハ13~15とされており、通常の中距離弾道ミサイルよりも速度が速い。

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また、このミサイルの弾頭には「機動性再突入体」が搭載されており、大気圏内でも大気圏外でも機動を変更でき、予測可能な弧を描く一般的な弾道弾頭に比べて、迎撃が難しく、ミサイル防衛網を回避する。革命防衛隊航空宇宙軍司令官のアミール・アリ・ハジザデ准将は「Fattah-1はすべてのミサイル防衛システムを突破することができる。これを迎撃できるシステムが開発されるまでには数十年かかると考えている」と述べている。また、既に次世代モデルの「Fattah-2」が開発されており、飛距離は1500kmに延長、極超音速滑空体(HGV)弾頭を搭載しており、滑空飛行中に軌道を変更、方向制御を強化するために可動ノズルを備えた固体燃料エンジンを採用、最大速度はマッハ20に達するとされている。今回のイスラエルへの攻撃にはFattah-2も使用されたと言われている。

ただ、これらのスペックは全てイラン側の発表によるものなので、この通りのスペックがあるかどうかは定かではない。しかし、今回、迎撃されることなく多数のミサイルがイスラエルに着弾する様子が映像に納められており、これまでの攻撃よりもワングレード上がったことが分かる。

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昔から多数のロケット弾攻撃にさらされてきたイスラエルは限られた防空資産を有効に利用するため、脅威に優先順位をつけ、人口密集地、重要インフラに着弾しない脅威は迎撃せずに見過ごす方法をとってきており、今回、着弾したミサイルも取捨選択して見過ごされたものとも推測できる。実際、イスラエル最大の商業都市テルアビブを襲ったミサイルはほとんどが迎撃されたとされ、死傷者は現状、ミサイルの破片に当たった2名の負傷者のみだ。ただ、イランはハマスやヒズボラのように人口密集地を狙っていない。今回、軍事目標のみを狙ったと述べており、イスラエルの諜報機関モサドの司令部近くに着弾しているのが確認されている。また、主な攻撃目標は空軍基地とされており、ネヴァティム空軍基地が狙われている。未確認だが、空軍基地に駐機中のF-35が破壊されたという情報が錯そうしている。イランにとって脅威なのは、ステルス機のF-35だ。イスラエルがイランを直接攻撃するなら、戦闘機でイランの軍事施設を空爆するだろう。そして、イランが最も恐れるのがステルス機であるF-35になり、ネヴァティム空軍基地はF-35の拠点だ。もし、F-35、軍事施設に損害が出たという事実があっても、発表すれば、イランの攻撃が成功した事を認める事になるので、イスラエル軍がそれを公表することはないだろう。

イスラム革命防衛隊は90%が標的に命中したと主張。しかし、迎撃にはイスラエル軍の他、米海軍の艦船、ヨルダン軍も参加しており、そのほとんどを迎撃したと主張。イランは今回の攻撃で報復は終了と述べているが、イスラエルは報復を示唆している。

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