レバノン、ベイルートの爆発はイスラエルの仕業なのか?

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8月4日、レバノンのベイルートの港湾で大規模な爆発があった。ベイルート港の倉庫にあった爆薬の原料になる硫酸アンモニウムが爆発したとされ、100人以上が死亡、5000人以上が怪我をし、30万人が家を失った。かつて中東のパリといわれたベイルートは1982年の内戦で都市は崩壊。1990年に内戦が終了したが、復興には時間を擁し、2000年代まで内戦の傷跡が残る状況だった。その後、再開発が進み、ようやく綺麗な街並み戻った時だったのだが、また、内戦時のような風景に戻ってしまった。今回の爆発で内戦を思い出す国民も多かったのではなかろうか。

この爆発の原因について、危険な爆発物を長年放置した管理不足が叫ばれているが、アメリカのトランプ大統領は攻撃の可能性を言及している。もし、これが攻撃、テロだとしたら、それは誰なのか?

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レバノンと敵対するイスラエル

レバノンは長年、イスラエルと敵対している。イスラエルがレバノンにいたパレスチナ解放機構(PLO)を潰そうと1982年にレバノンに侵攻(写真上)、これをきっかけにイスラエルに対抗するための武装組織ヒズボラが誕生し更に対立は激化。同じくイスラエルと敵対するイランとシリアがヒズボラを支援し、同組織を通してイスラエルを攻撃するような構図ができてしまう。以後、大規模なものも含め散発的な戦闘が度々続いている。今回の爆発が起きる数日前の7月27日にはレバノン南部のイスラエルとの国境地帯でイスラエル軍とヒズボラとの間で戦闘が起き、互いに報復を予告するなど事態は悪化、緊張感が高まっていた。その折に起きた爆発である。

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一見、この争いはイスラエル対テロリストの構図に見えるが、実はヒズボラはレバノン公認の組織だ。国会では議席を保有し、連立では過半数を超える議席を抱える。国内では放送事業やいくつか社会事業を手掛けるなど影響力は大きい。兵力は今や正規軍のレバノン軍を凌ぐ。今回、爆発があったベイルートにも拠点をもっている。少なくともレバノン国内ではテロリストのような扱いにはなっていない。2006年にイスラエルがヒズボラ掃討のためにレバノン侵攻した際は国際空港であるラフィク・ハリリ国際空港を空爆し、ベイルート港を海上封鎖。電力発電所や幹線道路などインフラも破壊するなど、イスラエルはレバノン全域を攻撃対象とし、ヒズボラ=レバノンと捉えている節がある。

このことからも今回、イスラエルが港湾施設を攻撃した可能性は十分にある。

イスラエルの対外特務機関モサド(Mossad)の仕業?

しかし、今回は空爆ではない。もし、攻撃だとすれば事故を装った破壊工作である。これを行うとすればイスラエルの特務機関モサドだ。モサドは海外における諜報活動や破壊工作、暗殺、拉致を任務としている。その実力はCIAにも匹敵する。1960年にはナチス・ドイツの戦犯アドルフ・アイヒマンを亡命先のアルゼンチンで拉致し、自国で裁判に掛けた他、1972年にミュンヘンオリンピックでイスラエル選手団11人が暗殺されたテロでは、報復として関与した協力者をヨーロッパ各地で暗殺。2008年にはシリアでヒズボラの幹部を暗殺するなど自国の法が及ばない海外でも容赦しない。レバノン国内では多くのモサドのスパイが活動し、暗殺や政権の混乱を引き起こす工作活動を行っているとされている。レバノンはここ数年の経済危機で失業率が増加し、治安が悪化。さらに政治家の汚職と国民の不満が溜まり、そこにコロナである。瀕死のレバノン政府を更に追い込むためにモサドが事故を装って、今回の爆発事故を起こすというのは、あながち飛躍した発想でも無い気がする。実際、中東ではモサドの仕業という人は多い。

モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝

もちろんイスラエル政府は一切の関与を否定している。これが新たな火種にならぬよう、速やかな真相究明が待たれる。

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レバノン、ベイルートの爆発はイスラエルの仕業?
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