台湾が初めて自主建造した国産潜水艦「海鯤(かいこん)」の進水式が28日、蔡英文総統同席のもと、台湾南部の高雄にある造船所で行われた。
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— Jaime Ocon 歐海美 (@JaimeOcon1) September 28, 2023
Finally a first look at Taiwan’s Indigenous Defense Submarine. pic.twitter.com/tMaIPl4Pl3
中国による台湾侵攻の危機が叫ばれる中、海中に潜む潜水艦は中国に対する抑止力として期待されており、国産化は悲願だった。というのも、中華民国海軍は現在4隻の潜水艦を擁しているが、オランダで開発建造された最新の海龍級2隻でさえ、就役から30年以上経過。他の2隻はアメリカで大戦中に建造されたもので海軍に就役してから60年以上が経過と老朽化が激しく、中国海軍に対応できる能力を持ち合わせていなかった。更に中国からの圧力もあり、海外からの購入も難しく、そこで、潜水艦の国産化を図る国産防衛潜水艦(IDS) プログラムを2017年に発足させていた。そして、今回、建造を終え、進水という大きなマイルストーンを達成することができた。海鯤は今後、試験を経て、2024年末に海軍に引き渡される予定だ。
そうりゅう型潜水艦がモデル?
海鯤級潜水艦の一番艦となる「海鯤」は2020年に建造が始まったディーゼルエンジンとリチウムイオン電池を搭載する通常型動力艦。排水量は2500トンで全長70m、幅8m、潜航深度350~420m。建造費は493億6000万台湾ドル、日本円で約2300億円。
外観は海上自衛隊の「そうりゅう型潜水艦」に似ており、そうりゅう型をベースに開発されたと噂されている。というのも潜水艦建造のノウハウを持っていない台湾の今回の建造プロジェクトには三菱重工業と川崎重工業を退職した潜水艦技術者で構成された日本のチームが技術支援していると噂されている。その他、現在使用しているオランダ製の海龍級(ズヴァールトフィス級潜水艦)も参考にしている。また、米国が米海軍原子力潜水艦で使用されているAN/BYG-1潜水艦戦闘管理システムの他、海鯤用と思われるMk48魚雷、ハープーンミサイルを台湾に売却するなど、「海鯤」の開発には8カ国が支援を行っているとされる。
台湾国防部は生産元のCSBC コーポレーションに計8隻を発注しており、二番艦が建造中になる。将来的には海龍級2隻と合わせ10隻からなる潜水艦隊を組織する予定だ。
軍艦の国産化を進める台湾
台湾は世界12位の海軍力を誇るが、その多くは中古で買った旧式の軍艦が多数を占める。最新の艦艇が欲しくとも各国は中国を意識して売ってくれないため、台湾は近年、艦艇の国産化を急速に進めている。昨年6月には台湾最大の艦艇となる排水量1万トン超えの玉山級ドック型輸送揚陸艦の一番艦「玉山」が就役している。
写真:台湾総督府台湾で開発建造された玉山級ドック型輸送揚陸艦の一番艦「玉山」の引き渡し式が9月30日、台湾南部の高雄市にある台湾国際造船高雄造船所で開かれた。玉山級揚陸艦は脆弱な離島への補給線を強化、地上部隊を速やかに輸送、上陸す[…]
2015年には国産の沱江級コルベット艦こと沱江級巡邏艦が就役。沱江級は全長60m、排水量567トンの小型のコルベット艦。この船は2つの船体を甲板でつないだ高速双胴船になり、波浪貫通型双胴船(Wave Piercing Catamaran:WPC)という設計で、最大速度44ノット(81km)。主に東シナ海における対中国を念頭に開発された。