イスラエルは同国の防空システム「アイアンドーム」を購入したいというウクライナの要望を断りました。
ロシアとの関係を考慮
防空システムが乏しいウクライナは昨年から世界でも最も優れた防空システムの一つであるイスラエルの「アイアンドーム」の購入をアメリカに求めていました。アイアンドームはイスラエルとアメリカとの間で共同開発された兵器で、第三者に売却する場合は両国の同意が必要です。アメリカは前向きでしたが、イスラエルは非公式協議でこれを拒否。ここ数か月の緊迫した情勢もあり、ウクライナは直接、イスラエルに働きかけたようですが、これも拒否しました。イスラエルはウクライナとロシアの問題については中立の立場を取らざる得ない背景があります。
中東で様々な火種を抱えるイスラエルはシリアとイランの対応において、ロシアを苛立たせたくないという思いがあります。紛争が続き、政情不安なシリアに敵対するイランがアサド政権を支援する名目でシリア国内に軍事拠点を建設、これがイスラエルへの攻撃拠点になるとして、シリアのイラン施設を攻撃しています。しかし、この時、危惧せねばならないのがロシアの存在です。ロシアもアサド政権を支援すべく、軍を派遣、軍事拠点を建設、またロシアのPMC「ワグナーグループ」も展開しています。イランとロシアの拠点や人員が完全に分かれていればいいのですが、ロシアとイランは友好国であり、攻撃地点にロシア人が居ないとは限りませんし、誤ってロシア側の陣地を攻撃してしまう可能性も否定できません。自分たちの攻撃でもし、ロシア側に被害を与えることになれば関係は悪化、シリア、イランへの攻撃も控えざる負えません。そこで、イスラエルは攻撃前にロシア側に通知し、ロシア人の被害を出さないようにし、ロシア側も攻撃を認めています。もし、ウクライナにアイアンドームを売却すればこの協力関係が崩れることなります。
アイアンドームとは
アイアンドームはレーダーとミサイルランチャー構成された防空システムでレーダー1基につき、ミサイルランチャーは最大4基まで配置可能で、アイアンドーム1セットに付き最大80発の標的に対応できます。イスラエル軍の発表では命中率の実績は85~90%と非常に高く、実績ベースでは世界で最も優れた防空システムになります。
イスラエルとパレスチナの衝突が激しさをましている。パレスチナは3日間で1500発のロケット弾をイスラエルに向けて発射。それを迎撃するイスラエルの防空システム「IRON DOME(アイアンドーム)」の様子がSNSなどに多く投稿され、[…]
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