KSK Kommando Spezialkräfte（特殊部隊コマンドKSK）は、いくつかあるドイツ連邦軍の特殊部隊の中で最も優秀なエリート部隊として知られており、秘密の多い部隊でもある。
KSKとは
KSKはドイツ連邦陸軍特殊作戦師団隷下の旅団級の特殊部隊になる。KSKという名前はドイツ語の”Kommando Spezialkräfte（特殊部隊コマンド）”の文字からきている。ちなみにドイツ語圏であるスイスの軍にも同名の特殊部隊が存在する。
主な任務は対テロ・対ゲリラ戦、人質救出、偵察など直接行動を伴う特殊作戦になる。
歴史
1972年のミュンヘン・オリンピック事件以降、ドイツ国内では対テロ部隊の創設が急務になり、西ドイツ警察内に対テロ特殊部隊GSG9が創設される。東西ドイツ統一後もGSG9が対テロの第一線で活躍していた。統一後に組織されたドイツ連邦軍には降下猟兵のFSLK200などいくつか特殊部隊ユニットがいたが、どれも冷戦下の対ソ連を睨んだ部隊であり、冷戦が終わり、相手は国内外のテロリストやゲリラ、民兵という新たな脅威に代わっていた。既存の特殊部隊の必要性は薄れ、新たな脅威に対応できる部隊が必要になっていた。そのような時、1994年にルワンダ大虐殺が起きる。ルワンダには大勢のドイツ人が在留しており、この混乱でドイツ人は脱出できずにいた。ドイツ政府は在留する国民の救出を試みるが軍やGSG9にはゲリラ戦や民兵への対応力がなく、結局NATOの同盟国であるベルギーの部隊が救出した。これをきっかけに軍内にも対テロ・ゲリラ戦、救出任務に特化した特殊部隊の創設の声が多くなり、1996年にKSKが創設される。KSKはGSG9とイギリスのSAS、米軍のデルタフォースなどを参考に組織された。
1998年にはバルカン半島でコソボ紛争が始まり、NATO軍の一員として早速、KSKが派兵される。その後も2001年からはアフガニスタン紛争にも派兵されている。
今ではKSKはヨーロッパで最も有能な特殊作戦部隊の1つなり、NATO、米国およびその関連組織から多くの勲章を受賞している。彼らはその実力からバルカン半島、中東、テロ対策の共同作戦に頻繁に招集される。
KSK ドイツ連邦 陸軍 特殊作戦 コマンド 1/6 アクションフィギュア SS104
部隊構成
旅団レベルのKSKは大きく二つの大隊に分かれており、そのうちの一つの戦闘部隊は、約100人からなる四個中隊に分かれている。4つの各中隊は指揮小隊と5つの特化小隊によって編制されている。特化小隊はそれぞれが得意とする地形やアクションがあり、複雑で多岐に渡るミッションに適応できる独自の専門性と能力を備えている。
・第１小隊：車両投入
・第２小隊：航空投入
・第３小隊：水陸両用作戦
・第４小隊：特殊な地形又は気象環境における作戦(砂漠、ジャングル、山、北極)
・第５小隊：偵察・情報作戦・狙撃・対狙撃
各小隊は戦闘員16名と選抜された4人の同程度の特殊技能を持つ隊員で構成され、それぞれの能力に最も適した小隊に配属される。各隊員はそれぞれ、武器の専門知識、衛生、戦闘技術、通信技術に関する特別な訓練を受けている。さらに、重火器や言語の専門家など、他の専門家を含むグループもある。
戦闘部隊の他にも後方支援を行うサポート部隊がある。
装備
G36
ドイツの誇るヘッケラー＆コッホ社（H&K）が開発した自動小銃。ドイツ連邦軍の主力小銃でもある。KSKでは特殊作戦用にカスタムされたG36を使用している。
G95（HK416）
HK416と名前で有名なG95はG36と同じ5.56 x 45㎜の口径を持つアサルトライフルになり、G36の後継となる小銃になる。
MP7
H&K社が開発したPDW（自己防衛火器）。
G22 （AIAW）
イギリスのアクチュアリーインターナショナルが開発したボルトアクション式のスナイパーライフル。イギリス軍ではL96A1と呼ばれていることで有名。ドイツ連邦軍の標準的なスナイパーライフルになる。
G29（RS9）
ドイツのC.Gヘーネル社が特殊部隊向けに開発した .338ラプアマグナム弾を使用するボルトアクション式のスナイパーライフル。
MG5
H&K社が開発した汎用機関銃。発射速度800発/分、1000メートルの射程を誇る。
P30
H&Kが開発した9㎜自動拳銃。ドイツ連邦警察も採用している。より強力な.40S&W弾も使用でき、軍では主に特殊部隊が採用している。
