アメリカ級強襲揚陸艦でF-35Bを運用する”ライトニング空母”コンセプト

アメリカ級強襲揚陸艦でF-35Bを運用する”ライトニング空母”コンセプト
Photo US Marine

アメリカ海軍はSTOVL(短距離離陸垂直着陸)機であるF-35B ライトニングIIをアメリカ級強襲揚陸艦に搭載する「Lightning Carrier(ライトニング空母)」と呼ばれるコンセプトのテストを行っており、強襲揚陸艦を実質”軽空母化”することを計画しています。

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最大20機のF-35Bを搭載

航空機を搭載し、離発着させる艦船というと航空母艦(空母)の役割ですが、アメリカ海軍では広い甲板を持つ強襲揚陸艦にもその役割を求めており、2016年から航空機の離発着のテストを繰り返し行っています。2019年10月には太平洋上で海兵第122戦闘攻撃中隊(VMFA-122)らに所属する13機のF-35Bが強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA 6)に搭載され、運用テストが行われました。そして、2022年3月初旬にはVMFA-225とVMFA-211に所属する16機のF-35BがUSSトリポリ(LHA 7)に搭載。その翌月4月にはその数は20機に増え、記録を更新。これに加え、空中給油用のV-22オスプレイや大型輸送ヘリCH-53Kキングスタリオンも搭載できます。20機という数は英海軍の旗艦空母クィーン・エリザベスが現在運用中の18機のF-35を上回る数になり(スペック上は36機まで搭載可能)、アメリカ級強襲揚陸艦が軽空母として機能することを示しました。

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航空運用能力を強化した強襲揚陸艦アメリカ級

アメリカ級強襲揚陸艦でF-35Bを運用する”ライトニング空母”コンセプト
Photo US Marine

アメリカ級強襲揚陸艦は米海軍の最新の強襲揚陸艦になりますが、前級のワスプ級をベースにしており、サイズもほぼ一緒になります。しかし、航空運用機能を強化すること目的に開発されたこともあり航空燃料の搭載量増加などで排水量は2000トン増加。ウェルドックを排除し、水陸両用車の運用能力を喪失するも、その分航空整備エリアを確保。甲板はF-35の発艦に耐えられるよう強度が増しています。

全通飛行甲板は249.6×36.0mで、航空母艦であるニミッツ級の332.9×76.8mと比べると一回り小さく、一般的な艦載機の離発着はできませんが、カタパルト無しで短い滑走で離陸でき、垂直着陸が可能なSTOVLのF-35Bであれば十分運用可能な広さを持っています。同様のコンセプト機体であるAV-8B ハリアー IIも離発着は可能で、ハリアーIIでも離発着テストは行われています。昨年、空母化運用能力を立証した海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」もF-35Bの離発着を成功させましたが、STOVLだから可能になっています。

アメリカ級強襲揚陸艦は現在、長崎佐世保港を母港とするUSSアメリカとカリフォルニア州サンディエゴ海軍基地を母港とするUSSトリポリの2隻体制です(3隻目のブーゲンビルを建造中)。アメリカ海軍は現在、11隻の空母を運用しており、アメリカ級を加えるとその数は13隻になることになります。

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Source

https://news.usni.org/2022/04/05/marines-load-record-16-f-35bs-aboard-uss-tripoli-test-of-lightning-carrier-concept

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