バルト三国の一国、リトアニアのアルヴィダス・アヌサスカス国防相は9日木曜、ウクライナ南西部のオデッサを訪問中にウクライナへの追加の軍事支援として36門の「ボフォース 70口径40mm対空機関砲(L70)」を提供することを発表しました。
国防相は木曜日、ウクライナのオレクシ・レズニコフ国防相との会談で「我々はすでに15人の教官の訓練を完了しており、彼らはウクライナの領土で働く準備ができている」と述べました。つまり、L70の訓練教官をウクライナに派遣し、現地でウクライナ兵に訓練を行うということです。そして、その2日後の11日土曜には既に最初のバッチがウクライナに到着しています。
対ドローン用に提供
The Ministry of Defense of Lithuania showed the training of the Ukrainian military on the L70 anti-aircraft systems, which will be handed over to the Armed Forces of Ukraine. These anti-aircraft guns will help shoot down helicopters and drones of the Russians. pic.twitter.com/1JF2AUAxhm
— Dénes Törteli 🇪🇺🇭🇺🇺🇦 (@DenesTorteli) February 7, 2023
ボフォース40mm機関砲はスウェーデンの軍需企業ボフォース社によって1930年代に開発された対空砲です。高い発射速度と初速、射程を誇る機関砲は第二次世界大戦の勃発もあいまって、ほぼ全ての連合国によって採用され、地上のみならず艦載砲としても運用されるなどベストセラーとなり、戦後も世界中の軍隊に採用されます。大戦末期、ジェット機の出現、高速化に伴い、より高速な戦闘機に対抗できるよう、戦後には発射速度120から330発/分に、初速881m/sから1021m/sに、射程7.1から12.5kmに向上させた”L70”が1952年に開発されます。しかし、その後も高速化、高高度化は進み、ミサイルの登場によって攻撃距離が伸びた現代の戦闘機に対して対空機関砲は既に時代遅れであり、すたれつつある兵器でした。しかし、ドローンの脅威が増す近年、L70は対ドローン兵器として注目を浴びています。近接信管のフラグメンテーション弾を発射できるL70は低速で装甲が弱いドローンには非常に有効です。実際、インド軍では対ドローン用にレーダーを搭載したL70を再配備しています。
Photo Indian Armyインド軍は第二次世界大戦時に開発された対空機関銃「ボフォース40mm機関砲/L70」を2020年代の脅威であるドローン・UAVへの対抗武器として使用します。[adcode]インドで[…]
ウクライナに提供されるL70にはサーマルイメージャーとレーザー距離計が装備、爆発性の高いフラグメンテーション弾のPFHE Mk2が使用され、これはロシアが使用するイラン製自爆ドローン「Shahed 136」を1~2発で撃墜できます。
リトアニアは人口280万人ほどの小国で、大した軍事力は持ち合わせておらず、NATOの保護下にあると言っても定かではありませんが、過去、ソ連による侵攻を受け、ソ連に編入された経緯から、ロシアによるウクライナ侵攻以降、決して多くない国防予算の多くをウクライナ支援のために割いています。ロシアの飛び地のカリーニングラードに繋がる列車も封鎖するなど、外交面でもロシアに対して強気の姿勢を示しています。
Source