ロッキード・マーティンは7月11日、最初の空中レーザー兵器システム「LANCE」を2月に米空軍研究所(AFRL)に納入していたことを発表ました。LANCEはレーザービームといった指向性エネルギーを使用し対空ミサイルを迎撃する戦闘機用の兵器ポッドになります。
LANCEとは
”次世代コンパクト環境のためのレーザーの進化”を意味するLANCE(Laser Advancement for Next Generation Compact Environment)は空中における防護イニシアチブを得るために2017年から開発が始まったプロジェクトになります。LANCEは高出力のレーザービームを照射するレーザー兵器で戦闘機にオプションで搭載することを目的としたポッド兵器システムとして設計されており、ミサイルやドローンといった軽航空機を撃墜することができます。レーザー兵器はロッキード・マーティンによって開発されましたが、レーザービーム制御システムはノースロップ・グラマンによって開発され、航空機に搭載されるポッドはボーイングによって開発されるなど、米国のトップ軍需メーカーの技術が集約されています。
最も小さいレーザー兵器
ロッキードマーティンの幹部によるとLANCEは同社がこれまでに開発してきた中で最小、最軽量、高エネルギーのレーザー兵器になります。ロッキード・マーティン社は昨年10月にAC-130Jガンシップ用に「空中高エネルギーレーザー(Airborne High Energy Laser:AHEL)」を空軍に納入していますが、LANCEはこれら他のレーザーエネルギーシステムの6分の1のサイズしかありません。LANCEはポッドサイズに収められており、小型化という大きな進化で、戦闘機へのレーザー兵器搭載が実現します。
これまで戦闘機は対空ミサイルを撃たれた場合、フレアなどを射出して回避するしか術がありませんでした。しかし、LANCEを搭載することにより、回避ではなくこれを迎撃することができます。また、ドローンを迎撃する際、戦闘機はドローンよりも高価とされる対空ミサイルを使用していましたが、費用対高価の高い撃墜方法を得ることになります。
懸念点
レーザー兵器には出力問題があります。膨大な電力を必要とするため、一定の出力を確保するにはそれなりの規模の発電システム、またはバッテリーが必要で、これをモバイル化しようとすると出力が低下してしまいます。大型航空機のAC-130Jに搭載されるAHELレーザーシステムで出力が60kwになり、LANCEはこれ以下とされています。ドローン、ロケット弾を迎撃するのに必要な出力が50kwになるので、おそらくそれぐらいはあると思われますが、迎撃可能距離や雲の中ではビームが減衰するので、使用条件などが気になります。
Photo US AIr Forceアメリカ空軍及び、特殊作戦軍(SOCOM)は対地専用攻撃機(ガンシップ)の”AC-130Jゴーストライダー”にレーザー兵器を搭載することを計画しています。既にプロトタイプを受領しており、まもなく[…]
現状はまだプロトタイプと位置づけで、今後のテストと研究を経て、具体的な目標は今後決定されるものと思われます。
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