ニュージーランド軍、エストニア軍。それぞれオセアニア、ヨーロッパはバルト三国の一国であり、地理的にもだいぶ離れていますが、両国の軍には共通点があります。それはアサルトライフルの「MARS-L」を主力小銃している点です。両国が採用するMARS-Lについて紹介します。
概要
耐久性が高い
MARS-Lはアメリカの銃器メーカーLewis Machine&Tool Company(ルイス・マシン&ツール:LMT)が開発製造するアサルトライフル。M4カービンをベースに特許を取得したモノリシックレールプラットフォーム(MRP)を使用して製造しています。「モノリシック」とは一枚板という意味でレシーバー、レール、ハンドガード部分は一枚の高品質アルミニウムを削りだしており、つなぎ目はありません。レシーバーの側面のマグウェル上部分にある2本のロックボルトでバレルを固定しており、ボルトを外し、バレルを完全に360度回転させるだけで数秒でバレルを取り外すことができます。様々な長さ、口径のバレルに対応。バレルは長さが異なる10½〜20インチまでの14種類が用意されています。さらにMRPは冷間鍛造と独自のコーティングが施され耐久性が向上。現在のライフルは照準器、レーザー、ライトなど様々なアクセサリーが追加され、その負荷によりハンドガードにヒビが入ることがありますが、強化されたMRPはこれを防ぎます。MRPのアッパーレシーバーには14.5インチのピカティニートップレール、ハンドガードの側面にはM-Lokが採用されています。ボルトも独自の強化ステンレスで製造されており、外部・内部含めM4より強度が大幅に向上しています。
MARSは両利きという意味
MARS-L は”Modular Ambidextrous Rifle System-Light”の略になり、”Modular”は前述のバレルの換装システムの事を指し、”Ambidextrous”は両手利きを意味し、MARS-Lは「モジュラー両手利きライフルシステム‐ライト」を意味します。左右どちらからでもアクセスできるボルトキャッチにマガジンリリース、セレクターの絵文字は左右どちらにも描かれています。人間工学に基づいたテクスチャグリップ、および伸縮式のSOPMODストックを採用しています。
ニュージーランド軍とエストニア軍が採用
ニュージーランド軍
NZ軍は陳腐化したステアーAUGのバリアントでオーストラリア製のF88に代わる主力小銃として2015年8月にMARS-Lの採用を決定。総額5900万ドルで約9,000挺のMARS-Lを調達する契約を結び、1988年から約30年に渡って使用されてきたF88に別れを告げます。最初のライフルは2017年5月に納入されますが、多くのライフルで撃針が破損するという問題があり、全てのライフルの撃針を交換。これにより、更に強度が増しています。
エストニア軍
エストニア軍はスウェーデン製のAk4およびイスラエル製のIMIガリルに取って代わる主力小銃として2019年5月にMARS-Lの採用を決定、エストニア軍では「R20Rahe」と命名され、7500万ユーロで約18,000挺の契約を締結します。2021年春には5.56mmモデル6,050挺、7.62mmモデル500挺が納入され、2022年までに全ての主力小銃をR20Raheに置き換えます。
スペック
口径 | 5.56mm |
重量 | 3.22kg(マガジン空) |
全長 | 914mm |
銃身長(バレル) | 406mm(16インチVer) |
弾丸 | 5.56x45mm弾 |
装弾数 | 30 |
Source
https://lmtdefense.com/product/new-zealand-reference-rifle/
https://www.nzherald.co.nz/nz/nzdfs-new-rifles-all-9040-of-them-get-firing-pin-replacements-after-breakages/CFH5YF6HYBRVXSH22PLBMNRLDA/
https://www.gunsandammo.com/editorial/review-lmt-new-zealand-reference-rifle/359300