ウクライナへの軍事支援として大量に送られた携行式対空ミサイル(MANPADS)の「スティンガー」。戦闘は長引き、今後もスティンガーは大量に必要になりそうですが、今後、補充することは難しくなりそうです。
Military brotherhood. On April 21st, Ukrainian paratroopers shot down a russian helicopter with a Stinger. And when the second helicopter arrived, it was shot down by Marines. Ukrainian Armed Forces are strong, both on the ground and in the air. pic.twitter.com/lQVPopEQ5c
— Defence of Ukraine (@DefenceU) April 21, 2022
NATO各国は航空戦力、防空システムの乏しいウクライナに対し、アフガニスタンでソ連を苦しめたMANPADSのスティンガーを多数提供。アメリカ、ドイツ、リトアニア、エストニア、ラトビアのバルト三国が送っており、少なくとも開戦から2週間で2000基がウクライナに届けられました。これが功を奏し、ウクライナ軍は2月24日から4月25日までの間に航空機184機、ヘリコプター154機、無人機205機(ウクライナ側の発表)を撃墜しています。
大きな戦果を挙げていると同時に、かなりの数のスティンガーも消費していると思われます。今後、東部で戦闘が激化する中でスティンガーはもっと必要であり、ウクライナはアメリカに対し、毎日500発のスティンガーが必要と3月末に述べています。つまり、10日で5000発です。アメリカ軍は数万の在庫をもっているとされ、まだ提供の余力はありそうなのですが、戦闘が長引けば補充が難しくなりそうです。
量産は2023年から
というのも、生産元のレセイオン社とロッキード・マーティン社の量産の体制が整っていません。アメリカやNATO各国が戦ってきたここ数十年のテロとの戦いは空に脅威がなく、スティンガーを使用する機会は全くありませんでした。それを表すようにアメリカ国防省は18年間、新規のスティンガーを購入していません。生産需要が無いなかメーカー側もスティンガーの生産ラインを閉じ、他の製造に充てることになります。つまり、今、量産を頼まれてもそれを作る生産ラインと部品がなく、それらを用意するに少なくとも1年はかかり、量産が開始されるのは早くとも2023年になります。課題はそれだけではありません。今の改良型スティンガーのブロックIは1990年代に開発されたもので、約20年間製造されていなかったこともあり、必要な部品の調達も難しく、再設計を行う必要があるかもしれません。
そもそも、アメリカは1980年代に開発されたスティンガーは2023年度には時代遅れになり、新たな空の脅威に対応できないと言っていました。しかし、今回のウクライナ侵攻でまだまだ有効であることを実証。スティンガーは必要であり、今後、各国で需要が出てくると見込んでいます。
米陸軍は、人が携帯できる新しい防空システム (MANPADS) を探しています。これは、1980年代から使用されている携行型短距離地対空ミサイルシステム「レイセオンFIM-92スティンガー」に替わるものです。レッドストー[…]
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