米海軍が開発する空母搭載用無人給油機MQ-25

米海軍が開発する空母搭載用無人給油機MQ-25
Photo by Boeing

偵察、空爆といった分野で無人航空機(UAV)は既に一定の役割を担っていますが、今後、空中給油についてもUAVがその役割を担うかもしれません。ボーイング社と米海軍が開発する空母発着艦が可能な無人空中給油機Boeing MQ-25 Stingrayは完成に近づいています。

ボーイング社はMQ-25 Stingray(スティングレイ)自動無人給油機がほぼ完成していると述べています。過去数回のテスト飛行では6時間以上の連続飛行と最高飛行高度30,000フィート(9,144m)に成功、2020年の12月には空中給油システム(ARS)を装着した状態でで2.5時間の飛行に成功。そして、2021年6月にはARSにて飛行中のF/A-18スーパーホーネットに無人空中給油を成功させると、8月には早期警戒機E-2Dに、9月にはF-35Cへの空中給油を成功させます。あとは空母での離発着からの空中給油を成功させれば完成と言ってもよいでしょう。

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無人攻撃機から改造された無人給油機

Northrop Grumman X-47 Pegasus
Northrop Grumman X-47 Pegasus

実はMQ-25は当初、X-47Bという名で低強度のテロ対策任務用に諜報・監視などを目的とする空母搭載可能な無人戦闘攻撃機(UCAV)として2006年に計画が始まります。開発を進め、空母での発着艦のテストまで完了しましたが、攻撃機としてのニーズを満たしていない、開発費の増加ということもあり、2016年2月、米海軍はX-47Bを監視および攻撃機から「制限付き攻撃能力」を備えた偵察および無人空中給油機に改造することを決定します。

だが、米海軍関係者は3月、ミッションセットを拡張して、攻撃・電子攻撃を含める可能性があると述べており、よりハイエンドな機体になるかもしれません。

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空母艦載機の攻撃範囲を拡大させる

米海軍が開発する空母搭載用無人給油機MQ-25
Photo by Boeing

米軍の空中給油機というと、空軍のKC-135、KC-46がありますが、これらは大型機で空母に搭載することはできません。そこで、海軍は艦上対潜哨戒機などに空中給油装置を装着することで、艦載機の作戦範囲を広げることにしますが、そもそも当初から空中給油を目的としていない機体では燃料の搭載量が限られるのと、その機体の従来の作戦能力失い、最低でも3人の人員を確保せねばならないなど、効率が悪く貴重な航空戦力を失うことになります。

MQ-25が実用化できれば、空母は航空戦力を犠牲にすることなく、作戦範囲、射程を広げることが可能になります。MQ-25の空中給油システムはF/A-18スーパーホーネット、EA-18Gグロウラー、F-35Cに空中給油が可能です。マイク・シューメーカー副提督は、MQ-25はスーパーホーネットの830kmの無給油戦闘半径を1,300 kmまで拡張できると述べており、海軍の目標では半径 930 kmの範囲で4〜6機の航空機に6,800kgの燃料を供給できるようにすることです。

米海軍は2020年4月までに7機の契約を行い、最終的には130億ドル規模、72機のMQ-25の編成を計画。初期作戦能力は2024年を予定しています。

関連記事:F-35BとKC-130Jが空中給油中に衝突し、墜落

関連記事:エアバスA330 MRTTが世界初の自動空中給油を完了

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Source
https://www.boeing.com/defense/mq25/#/ready-flight-deck

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