アメリカの軍事専門家はロシアが中国に売却したSu-35戦闘機をリースないしは購入を検討していると述べています。アメリカ情報機関が先日、ロシアが北朝鮮からソ連兵器と互換性のある弾薬やロケット弾を購入していると調査結果を公表しており、不足する兵器を海外に求めています。
wikipediaアメリカメディアが米諜報機関の調査結果を引用する形で、ロシアが北朝鮮から数百万という大量のロケット弾や砲弾を購入する過程にあると報じました。これはロシア軍の弾薬が尽きかけており、ウクライナでの消費に対して[…]
ウクライナ国防省の発表によれば、ロシア軍は2月24日から9月11日の間に242機の航空機を失っています。ロシア空軍は1200機ほどの戦闘・攻撃機を保有しているされていますが、既に六分の一を失っている可能性があります。さらに元より稼働率が低い上に装備充足率も低く、機体同士で足りない部品を共食いしている状況とされており、米空軍の稼働率が70%程度とされるなか、ロシア空軍は50%を下回るととされます。2014年にクリミア侵攻による経済制裁、そして、今回のウクライナ侵攻による追加制裁で稼働率は低下。失った機体を補充するにも西側の高度な部品が手に入らないので製造はできません。そこで、且つて海外に販売した機体の買い戻し検討しているというわけです。ロシアは米国に次いで世界2位の武器輸出国であり、世界中でロシア製兵器が使用されています。中国もそれらの国の一つであり、24機のSu-35Sを、およそ2300億円で購入、2016年から運用しています。
Su-35を売却しても中国空軍への影響は軽微
中国軍のSu-35は国産の第5世代戦闘機J-20に次ぐ先進的な戦闘機です。Su-35はロシアのスホーイ社によって開発、2014年に就役した第4世代戦闘機。航続距離が長く、最新のアビオニクスを搭載。迎撃、偵察、爆撃など複数の任務をこなせるマルチロール機で第4世代戦闘機としてはロシアの最新鋭機ですが、ロシアはSu-35を「第4世代++」または「4.5世代」と記載、機体性能はアメリカのF-15E、F-16C、およびF/A-18Eよりも優れていると主張しています。レーダーは400km先のターゲットを検出し、最大30個のターゲットを同時に追跡。給油なしで3,500kmを飛行できます。AWACSや空中給油機などのHVAA (高価値航空資産) を標的にできる超長距離空対空ミサイルR-37 Mを搭載しています。
しかし、中国はSu-35は戦力以外に研究という目的で購入したとされます。もともと中国の兵器はソ連・ロシア製の兵器をリバースエンジニアリングして開発されており、Su-35購入もその意味合いが強いとされています。既に主要な戦闘機を国産化した中国にとってSu-35を戦力としてカウントしていません。実際、運用されているのは24機中9機のみとされています。先日の米国のペロシ下院議長の台湾訪問による台湾周辺の大規模軍事演習においても、国産の殲-11(J-11)、殲-16(J-16)は確認されるも、Su-35の名は台湾海峡を横断したというフェイクニュースに登場しただけです。
先日、ロシアで開催された共同軍事演習「ボストーク2022」には中国も参加しており、そこで何かしら交渉が行われたのではとされています。今回のウクライナ侵攻では中国はロシアと一定の距離をとっており、直接的な支援は控えています。しかし、Su-35を運用していくにはロシアからのサポートが必要であり、ロシアのこのような状況ではSu-35の稼働率が今後下がる可能性があります。
であれば売却してしまった方が得です。研究用に数機残しておけば中国とすれば十分でしょう。更に、今回のウクライナ侵攻で2機ないしは3機が撃墜されており、Su-35の評判は失墜。瓦礫は西側に改修され、分析されています。しかし、戦闘機の売却は足が付きやすいので、西側との関係を考えると現状で売却はほぼ無いと思われます。