アメリカメディアが米諜報機関の調査結果を引用する形で、ロシアが北朝鮮から数百万という大量のロケット弾や砲弾を購入する過程にあると報じました。
これはロシア軍の弾薬が尽きかけており、ウクライナでの消費に対して、供給が追い付いていないことを示しています。この状況をアメリカは経済制裁の効果だと述べています。
ウクライナの諜報機関の発表によれば、ロシア軍は日々、ウクライナ軍の十倍近い5万発の砲弾を使用しているとされ、戦術、兵士の士気に乏しいロシア軍は圧倒的火力でそれをカバーしています。しかし、これを支えた砲弾も尽きかけているということになります。5月の時点でイギリス国防省はロシア軍が巡航ミサイルといった精密誘導弾を既に使いきっていると分析しており、8月時点では対艦ミサイル、弾道ミサイルと対地攻撃用の誘導弾も尽きたと見え、対空ミサイルを対地攻撃に用いていました。また、経済制裁により、西側の高度な電子部品や材料が入ってこないことで、戦車や戦闘機、ドローンといった高度な電子部品が必要な兵器の生産が滞っているとされていました。しかし、今回、北朝鮮から購入するとされるロケット弾や砲弾は、高度な電子機器やパーツを必要とせず、ロシア国内の工業力だけでも十分生産可能な筈です。しかし、それを北朝鮮に頼わざるを得ないというのはかなり深刻な状況と思われます。
違った見方をすれば、北朝鮮からの購入は生産のロードタイムがなく、大量の砲弾を手に入れることができる方法でもあります。北朝鮮は対韓国・アメリカとの戦いに備え大量の砲弾を備蓄しています。さらに北朝鮮の兵器はほぼソ連製兵器をベースにしたものであり、これらの砲弾はロシア軍の兵器と互換性があります。また、北朝鮮が大量の砲弾備蓄をロシアに提供したとしても、朝鮮半島有事は北朝鮮から仕掛けない限り、ほぼ起こることはないので、特段影響はありません。無くなった備蓄はまたゆっくり補充すればいいだけです。新型コロナ、経済制裁で疲弊する中、ロシアから砲弾と引き換えに燃料や食料を得る事ができるなら北朝鮮にとっては悪い取引ではないでしょう。
また、ロシア軍の榴弾砲や戦車の砲身は度重なる砲撃の連続で砲身寿命が尽きており、砲身が耐えきれず爆発するまで撃ち続けているとされ、おそらく北朝鮮から提供されるのは砲弾だけではないと思われます。
更に北朝鮮が10万人規模の志願兵・労働者をウクライナに送るという情報もあり、困窮する両国は今後、更に結束を高めていくでしょう。
ロシアの国営テレビ「チャンネル1」は、ロシアの友好国である北朝鮮が10万人の志願兵をウクライナとの戦争のためにロシアに提供すると報道した。[adcode]Today on Russian state TV, mil[…]
Source
https://www.nytimes.com/2022/09/05/us/politics/russia-north-korea-artillery.html