ロシア連邦の副首相ユーリー・ボリソフは、国営放送の「チャンネル1」の中でウクライナに侵攻するロシア軍が「Peresvet(ペレスヴェート)」または「Zadira(ザディラ)」と呼ばれるレーザー兵器を使用していることを発表しました。
ロシアの偉大な僧侶で戦士であるアレクサンダー・ペレスヴェートの名から名付けられたペレスヴェートは「モバイルレーザー兵器システム」と呼ばれる兵器で、現在、各国が開発を進める対ドローン・対ミサイルを念頭に開発された指向性エネルギーを使用する”短距離防空システム”の一つになります。
2017年の軍事技術フォーラム「Army-2017」で国防省と全ロシア技術物理学研究所との間で開発契約が結ばれ、2018年にプーチン大統領によって初めて公表されました。しかし、その後の開発情報や詳細なスペックに関してはほとんど明かされていません。明るみになっているのはテストでターゲットとなるドローンに5秒間レーザーを照射し、延焼撃墜に成功したこと。そして、そのレーザービームの射程が5kmであること。また、1500km上空の偵察衛星にレーザーを照射し、偵察カメラを盲目にすることできるとうたっています。トラックシャーシをベースにした自走式兵器ですが、膨大な電力を必要とするレーザー兵器において、電力確保をどのように行うのかは不明です。
対ドローンを念頭においた防空用途のレーザー兵器はアメリカ軍でもまだ実証テストの段階であり、本格運用は始まっていません。その点「ペレスヴェート」はすでに量産中とされ、最初の車両は軍隊に引き渡され、副首相の言うようにウクライナ侵攻で配備されているのが事実なのであれば、おそらく、物理的な損壊を伴うレーザー兵器が実戦に投入された事例としては世界初かもしれません。
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