ロシア軍、ウクライナ国境近くから誘導爆弾を多数投下するも40発近くが国内に着弾か

ロシア軍、ウクライナ国境近くから誘導爆弾を多数投下するも40発近くが国内に着弾か
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ロシア軍はウクライナ領内への空爆に誘導兵器の滑空爆弾を多用しているが、40発近くが自国領土に落下している事が分かった。しかし、ロシア軍に毎月数千発の滑空爆弾を投下しており、その数は許容範囲に過ぎないかもしれない。

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ワシントンポストの報道によれば、ロシア軍が2023年4月から2024年4月にかけて自国領土に少なくとも38発の誘導滑空爆弾を誤って投下された。同紙はウクライナ情報機関から入手した内部の爆弾処理と避難に関する文書を引用する形で報じている。これらの多くはウクライナ北部ハリキウ州と隣接するロシアのベルゴルド州に落下している。ロシアの独立系テレグラムニュースチャンネル「Astra」は更に多くが投下されていると報告しており、ロシアが2023年4月から2024年6月の間​​にベルゴロド地域に100発以上の爆弾を投下したと推定している。これらの誘導爆弾はウクライナ領内を狙ったもので、ロシア国内に落下したとしても多くは国境付近に落下しているが、2023年4月にはベルゴロド州の州都であるベルゴロド市への落下が確認されている。ベルゴロド市はウクライナの国境から30km離れている。

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FAB‐500

ロシア軍は2023年初めから、ウクライナへの空爆に無誘導爆弾のFAB‐500を誘導滑空爆弾化した物の使用を始めた。FAB‐500はソ連時代1960年代から使用されていた500kgの無誘導爆弾でFABには重量別に他にFAB-100/250/1500もある。これに誘導機能を追加し、誘導滑空爆弾化した。誘導滑空爆弾とは無誘導爆弾にモジュール式の誘導キットを装着、格納式翼と衛星ナビゲーションなど誘導機能を追加したものになる。爆弾は航空機から投下されると翼が展開して、滑空飛行を始める。無誘導爆弾は投下すると真下に落下するだけで射程はほぼゼロだが、滑空爆弾は滑空飛行することにより、射程が数十キロ伸び、滑空爆弾の最大射程は30~40kmあるとされている。誘導滑空爆弾のメリットは既存兵器を安価に誘導兵器に変える事ができる点であり、ミサイルと比較するとコストは約100分の1以下だ。ロシアは当初、空爆にはミサイルを多用していたが、コストが高いミサイルは枯渇している。それに対し、無誘導爆弾のFAB-500は大量の在庫がある。ロシア航空宇宙軍は毎週数百発のFAB滑空爆弾を投下しているとされ、ウクライナのゼレンスキー大統領は今年3月だけで3000発の滑空爆弾が投下されたと述べている。ロシア領内に落下したものは、投下しても翼が展開しなかった、誘導機能が上手く作動しなかったことが事が考えられる。兵器としてに信頼性は高くはないが、ロシア軍は数でカバーしており、兵器の有効性には影響しないとみられる。

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ウクライナによって厄介な滑空爆弾

滑空爆弾はミサイルとは違い、小型でレーダーで捕捉しにくい上に、推進力を使用しないので、検知可能な熱信号を発しない。そのため、迎撃が難しく、対処が難しい。防ぐには爆弾を投下する前に母機を破壊する必要があるが、先ほども述べたように滑空爆弾は射程が数十キロに及ぶため、ロシア軍は、自国領内で爆弾を投下、国境近くの施設を空爆していた。ウクライナ軍は長距離防空ミサイルが不足している事に加え、つい最近まで西側から供与された兵器による越境攻撃が基本禁止されていたため、ほぼ対処する術がなかった。しかし、今年6月から越境攻撃が解禁。更にパトリオット防空ミサイルの追加供与が決定。PAC-2の最大射程は160kmなので、機体を捕捉できれば、投下前にロシア軍機を迎撃できる。ウクライナ軍のパトリオット防空部隊は昨年3月の5日間で、ウクライナ領空に進入した5機のSu-34、2機のSu-35の計7機を撃墜している。また、ちょっと先にはなるが、スウェーデンが2機のSaab 340(ASC-890)早期警戒管制機(AEW&C)を供与を発表しており、これらが供与されれば、ロシア軍機による誘導滑空爆弾攻撃を無効化できる可能性は高い。

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