ロシア軍、艦載砲のAK-130mm砲とカノン砲を組み合わせたハイブリット砲を戦場に投入

ロシア軍、艦載砲の130mm砲とカノン砲を組み合わせたハイブリット砲を戦場に投入

大砲不足に悩むロシア軍がM-46 130mmカノン砲の砲台に艦載砲である130mm AK(AK-130)砲の砲身を搭載したハイブリット砲をウクライナの戦場に投入している事が確認された。

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茂みの中から砲撃するロシア軍の砲兵部隊。一見、よく見られる牽引式砲に見える。砲台部分から、これは第二次大戦後にソ連で開発されたM-46 130mmカノン砲とされている。しかし、装填する砲弾は通常のM-46のものとは異なる。通常、M-46に使用される130mm砲弾は弾頭と装薬が別々になっており、弾頭を挿入してから装薬が入った薬莢をいれる。しかし、この映像で装填されている砲弾は既に薬莢付きの統一弾を使用しており、このことから砲身・薬室部分が艦載砲の130mm AK(AK-130)砲を示していると推察されており、つまり、この牽引式砲は砲台にM-46 130mmカノン砲、砲身部分にAK-130を組み合わせたハイブリット砲ということになる。

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M-46 130mmカノン砲

M-46 130mmカノン砲は第二次世界大戦後にソビエト連邦が設計した野砲になり、52口径という超長砲身を採用、最大射程は30km近くに達し、当時の砲システムとしては長射程を誇った。世界25か国で採用され、ベトナム戦争、印パ戦争、シリア紛争で使用されている。ロシア軍では152mm砲が主流となったため、退役、予備役として保管されていたが、ウクライナとの戦争では砲システムの消耗に伴い、戦線に復帰している。

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130mm AK(AK-130)砲

AK-130は艦載用砲としてソ連時代の1970年代に開発、1980年より配備が始まった。二連装で装填から発射まで完全に自動化され、分間90発の発射速度を誇る。レーダーと連携し、標的を自動追尾する。有効射程は23kmだが、最大射程は75kmとされている。破片弾、対空弾と標的に応じ3種類の砲弾から即座に切り替えが可能。だだ、これらAK-130の性能は艦載砲、二連装だから可能であって、M-46の砲台に搭載された単装砲身型のハイブリット砲には自動化、レーダー連携などはない。

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ロシア軍は連日の大砲の撃ち過ぎで砲身の消耗が激しく、数か月の使用で砲身の交換が必要になるのだが、ロシア軍は砲身の消費に対して生産が現状間に合っていなく、大砲が不足していると報告されている。そのため、ロシア軍は旧式の牽引式砲を引っ張りだし、その砲身を自走砲など、より近代的な砲システムに接ぎ変えていると言われていたが、今回、艦載砲の砲身も引っ張り出していることが明らかになった形だ。ロシア海軍の出番は黒海に限定され、砲撃を行うような戦闘はほぼない。さらに唯一参戦している黒海艦隊は前線から撤退しており、艦載砲の在庫は地上砲に比べればまだ十分にある。しかし、この艦載砲も直ぐに無くなるかもしれない。

ウクライナ国防省によると、ロシア軍はここ最近の 1 か月だけで、牽引式と自走式のさまざまな口径の砲兵システム 1,415 門を失ったと報告しており、これは過去最高のペースになる。ここ3か月では4000門以上を失っている。ウクライナ国防省の統計では2022年2月からこれまで、ロシア軍は計16000門以上の砲システムをを失っているが、その4分の1をここ最近失っていることになる。高度な鍛造技術と専用機械が必要なロシアの砲身製造能力は年間100本だけだ。AK-130の砲身寿命は1500発され、ロシア軍は毎日1万発を発射している。

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