中国広東省珠海市で開催されている第15回中国国際航空宇宙博覧会に参加しているロシア最新鋭第5世代ステルス戦闘機Su-57。イベント参加が功を奏したのか同機の輸出バージョンであるSu-57Eの初の輸出契約が正式に締結された事が発表された。
Su-57初の輸出契約は現在、中国広東省珠海市で開催されている第15回中国国際航空宇宙博覧会で発表された。同イベントに訪れているロシア製兵器の海外輸出を担当するロシア国営軍需企業Rostec社の子会社であるロソボロンエクスポート社のアレクサンダー・ミヘエフ総裁は環球時報の取材に対し、「我々はロシアの戦略的パートナー数社と技術協議を行っている。ロシアからの最終製品の納入と共同開発・生産プロジェクトでの協力の両方について話し合っている。Su-57は最高の技術性能を備え、超音速巡航飛行モード、低レーダーおよび赤外線シグネチャを含む第5世代の基準に完全に準拠しています。競合する空中環境での運用中、高いノイズ耐性を備え、この戦闘機に特別に設計され統合された最も先進的で強力な要素複合体の1つを備えています」と語り、ロシア国営メディアのTASS通信はSu-57の輸出バージョンを海外の顧客に納入する最初の契約を締結した事を発表した。
契約先は不明
ロシアは11月12日から始まる第15回中国国際航空宇宙博覧会に参加するため、初めて2機のSu-57を中国に送った。1機は航空ショーに参加し、もう1機は地上での静止状態で展示され、世界中の軍事代表団やメディア、観客に公開された。派遣されたSu-57は非ステルスのプロタイプ機で地上展示時は機体の粗い作りに嘲笑されることもあったが、航空ショーではロシアの伝説のテストパイロットと評されるセルゲイ・ボグダン氏がSu-57を操縦、Su-57の運動性をいかんなく発揮し、評価をあげた。
ロシア初の第5世代ステルス戦闘機であるSu-57は2010年に初飛行、2015年には量産化する計画で、海外輸出も視野に積極的に海外の航空ショーに参加するなどして、ロシアは当初、600機ほどの輸出を目論んでいたが、2014年のクリミア侵攻による西側の経済制裁でパーツが手に入らずらくなり量産化が遅れた。ウクライナ侵攻時点で実戦配備されているSu-57の量産機は僅か3機しかなかった。2022年以降、量産を加速し、現在30機を生産しているが、部品不足は解消されていない。その上、ロシアは戦時中だ。それもあり、今回の中国の航空ショーの参加はあくまで、中国との強固な外交及び軍事的な関係のアピールが目的と思われていたが、Su-57の海外輸出へ向けたPRも目的だった事が分かる。
ただ、契約先がどこかは明かされていない。中国もかつてはSu-57に関心を持っていたされるが、既に国産の第5世代ステルス戦闘機J-20を開発、量産化しており、既に生産数は200機を超えている。年間100機近いペースで生産を行っており、Su-57よりも後発ながら、生産ベースで言えばSu-57より成功した機体だ。さらに今回の航空ショーで2機目の第5世代ステルス機J-35を初めて披露しており、中国との契約締結の可能性は低いと推察する。ロソボロンエクスポート社は2019年にアフリカ及びラテンアメリカ向けのSu-57Eパンフレットを公開している。今回の航空ショーには各国から軍事顧問団が視察にきている。
輸出版Su-57Eのスペックは?
輸出版とされるSu-57Eの詳細スペックは一部しか明かされていないが、ロシア軍仕様よりスペックが劣るモンキーモデルになる。ロシア空軍仕様ではエンジンは最新の「リューリカ=サトゥールン AL-51」が搭載されるが、Su-57Eには初期型でSu-35にも搭載されている「AL-41F1」が搭載される。AL-51の方が推力が15~20%ほど高い。それでもSu-57Eは最大離陸重量34,000kg、空中給油時の飛行距離7,800km、2基のエンジンはそれぞれ14,500kgfの推力を発生し、低高度で時速1,350kmの速度に達することができると謡っており、超機動性、制空権確保から精密な地上攻撃まで、さまざまな任務要件に適しているとアピールしている。