ロシア軍の最新鋭ステルス無人機S-70オホートニクがSu-57戦闘機に撃墜される

ウクライナ東部ドネツク州でロシア航空宇宙軍の最新鋭ステルス無人機「S-70オホートニク」が僚機の有人戦闘機の空対空ミサイルによって意図的に撃墜されるという奇妙な事象が確認された。

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10月5日に撮影されたとされる、東部ドネツク州のコンスタンチノフカ上空を飛行する2機のロシア航空宇宙軍の航空機。すると、後方にいる機体が空対空ミサイルを発射。ミサイルは前を飛行していた機体に命中、直撃を受けた機体は墜落した。その様子から、誤射によるフレンドリーファイアではなく、意図的に味方機を狙って攻撃したものと推察される。

墜落した機体の残骸はその後、地上で確認され、それがステルス無人機である「S-70オホートニク」である事が分かった。

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S-70オホートニク

S-70オホートニクはロシアのスホーイ設計局によって開発されているロシア初のステルス無人戦闘機。”オホートニク”はロシア語で”ハンター”を意味する。形状はアメリカ軍のB2ステルス爆撃機に似た水平尾翼および垂直尾翼が無い、いわゆる全翼機。 翼幅は20mになり、両翼にはステルスコーティング施され、アメリカのF-22やF-35に匹敵する優れたステルス特性を持っていると言われ、ロシアのステルス戦闘機Su-57よりもステルス性は高いとされている 。エンジンはSu-27戦闘機もしくはSu-35S戦闘機と同じターボエンジンを搭載、最高速度は1000km/h、最大飛行距離は6000kmといわれている。重量は20トンになり有人戦闘機並みの重量を有し、最大2000㎏の誘導弾及び、非誘導弾の搭載が可能になっている。操作は遠隔操作、またはAIによる自律飛行が可能。また、ウィングマンとしても機能し、Su-57戦闘機から同機を制御することもできるとされる。

2019年には最初のプロトタイプが完成し、同年8月に初飛行を行い、高度600m、20分間の飛行に成功している。量産化はまだだが、4機のプロトタイプを生産しているとされ、2機目は2022年夏に初飛行を行っている。同年5月には地上目標の精密攻撃に成功したとロシア国営メディアが報じており、使用されたのはKh-59Mk2巡航ミサイルとされている。また、計4発のグロム滑空誘導爆弾を搭載できるとも言われている。3機目と4機目は量産モデルのベースとなるとされ、2023年末までに国家試験が完了。ロシア国防省は2024年にS-70 オホートニク飛行隊を創設する計画を立てており、年内中に量産が行われる予定だ。

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今回、確認されたS-70は戦闘に参加しておらず、戦闘強度の強い空域での実戦テストが行われていたと推測されている。しかし、そのテスト中になんらかの理由で制御不能に陥り、ウクライナ側の領土に落ちる懸念があったため、僚機の有人戦闘機によってやむを得ず撃墜したとロシアの軍事ブロガーなどは述べている。撃墜地点は前線から15km程のウクライナ領内とされており、基本、S‐70と最新兵器を撃墜されるリスクがある空域を飛行させないので、不測の事態だったことが伺える。残骸はウクライナ軍制圧地域に、落下している。

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S-70を撃墜したのは第5世代ステルス戦闘機のSu-57とされている。前述したようにS-70はSu-57のウィングマンとして機能するように設計されており、Su-57からS-70を制御する事が可能だ。共にステルス機であるため、レーダーに探知されにくく、前線に近い空域を飛行していたことから、ステルス性のテストが行われたいたのかもしれない。

残骸はウクライナ側に落下したことから、おそらくウクライナ軍によって回収され、最終的にアメリカなどに渡り分析される事になるだろう。ロシアにとっては最新鋭機、しかも、ステルス性能を持ち合わせる機体が西側に渡ったのは大きな痛手だろう。ただ、今回、撃墜されたのは量産モデルではなく、初期のプロトタイプだとロシア側のブログやSNSなどは言及している。

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ロシア軍の最新鋭ステルス無人機S-70オホートニクがSu-57戦闘機に撃墜される
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