米空軍、KC-135空中給油機を自律飛行させ、最終的にドローン母船にする

米空軍、KC-135空中給油機を自律飛行させ、最終的にドローン母船にする
USAF

自律飛行技術を開発する米国のMerlin(マーリン)社は、ボーイングKC-135ストラトタンカー空中給油機の自律飛行に向けて取り組むことでアメリカ空軍と合意しました。米空軍は自律化に加え、KC‐135をドローンを空中発射するドローン・マザーシップにする事も計画しています。

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マーリン社は13日、米空軍航空機動司令部 (AMC) および空軍資材司令部 (AFMC) と協力して、KC-135ストラトタンカーを自律飛行させる「マーリン・パイロット」の設計、統合、テスト、デモンストレーションを実施することに合意した事を発表しました。この計画は複数年かけて、乗組員の仕事量の削減に向け、段階的なアプローチを実施していくことに焦点を当てています。その過程の経験と信頼を得ることで、KC-135の最終的な無人運転への道が開かれます。来年にはデモ飛行を達成することを目標としており、デモンストレーションでは基本的な空中給油操作が行われ、同社のデュアルユーステクノロジーが米空軍の重要な任務にどのように役立つか、また計画されている次世代空中給油システム (NGAS) にどのように役立つかが示されます。

「マーリンは、米空軍の保有する最も豊富で重要な軍用機の 1 つに統合することで、KC-135の自律密集編隊飛行を可能にするなど、当社の高度な自動化システムを実質的に進化させることができます」とマーリン共同創設者兼主任のマット・ジョージは述べています。 

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米空軍航空機動司令部(AMC)はKC-135が自律化、搭乗員の負担が軽減されることで、飛行中にドローンの大群をさせる事も計画しています。AMCの司令官であるマイク・ミニハン大将は、昨年の航空宇宙イベントの傍らで開催されたミーティングでKC-135に最大100機のドローンを発射できる能力を獲得するという構想を発表しています。KC-135から発射された無人機はおとりや遠隔センサーとして機能し、航空機部隊が目的地まで航行するのを支援したり、目的地の偵察、墜落したパイロットの救出を支援したりする可能性があると述べています。

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KC-135

1957年に就役した空中給油・輸送機で運用から半世紀以上経ちますが、1980年代に全機、寿命延長のための改修を行っています。その後も新しいエンジン、アビオニクス、および構造のアップグレード近代化改修を重ね、空軍は未だに約400機を所有、空中給油機の主力です。最大速度940km/h、航続距離は2400km、乗組員は3人 (操縦士、副操縦士、ブーム操縦士)、最大88.452t(115,562ℓ)の燃料が搭載可能でF-35であれば最大11機の燃料をフルチャージできます。

後継機のKC-46ペガサスの配備は始まっており、KC-135は順次退役し、2030年までの運用を予定していましたが、2024年の国防費法案に盛り込まれた要件により、 現在、KC-135の退役は禁止されています。2023年1月に始まったステルスタンカープロジェクトである次世代空中給油システム(NGAS)の調達計画が策定されるまで、米空軍は老朽化したKC-135を退役させることができません。

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