漏洩したアメリカ国防省の機密文書の情報によれば、ロシア軍の特殊部隊スペツナズの約95%が死傷したと分析しており、これが事実であればスペツナズは全滅しています。
ウクライナ戦争を分析した米国防省のレポートによれば、ロシア軍の特殊部隊スペツナズはウクライナで多大な損害を被っており、その死傷率は最大95%に上ると分析してます。精鋭部隊であるスペツナズの訓練には長い月日が必要であり、一人の隊員の育成に少なくとも4年、侵攻前の戦力を回復するには少なくとも10年の月日が必要と見ており、戦力の回復は容易ではありません。スペツナズの損失に関するレポートの日付は2022年後半から2023年前半のもので、比較的最近の戦況からの分析であることを示しています。
スペツナズとは
ロシアが誇る特殊部隊スペツナズ(Spetsnaz)は各国の特殊部隊同様に偵察から諜報、潜入、妨害工作、反乱鎮圧、テロ対策まで行う精鋭部隊です。”スペツナズ”をアメリカ海軍の”ネイビーシールズ”やイギリス陸軍の”SAS”のように特定の部隊を指していると思っている人も多いと思いますが、実は”スペツナズ”は特定の部隊を指すワードではなく、”特殊部隊”を意味する総称です。なのでロシア軍以外にも連邦保安庁(FSB)、警察などにいる特殊部隊も全て”スペツナズ”です。別に個別の部隊名があります。旧ソ連であるウクライナやベラルーシの特殊部隊もスペツナズと呼ばれています。ロシア軍のスペツナズはロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)に属しており、その規模は9旅団、15,000~17,000人にもなり、その内の約1,000人程がアメリカ軍のデルタフォースやネイビーシールズと同等の能力を持っているといわれています。
侵攻初期の段階から損失が拡大
2月24日に始まったウクライナ侵攻。電撃戦を試みたプーチンは虎の子のスペツナズを最初から複数投入します。対外情報庁傘下のスペツナズ「ザスローン部隊」はゼレンスキー大統領といった要人暗殺のためにキーウ市内に潜入するも失敗。空挺部隊(VDV)のスペツナズはアントノフ国際空港に降下するも、ウクライナ保安庁指揮下のスペツナズ「アルファ部隊」に撃退されます。結果、VDVスペツナズは初期の3月までに多大な損失を被ります。その後もスペツナズはマリウポリやドンパスといった激戦地に投入されます。米国防省のレポートによれば、2022年の夏までに投入された5つの旅団の内、4つが重大な損失を被った述べており、第346スペツナズ部隊は部隊のほとんどを失い、配備された900人のうち125人しか活動していないと報告しています。
Source
https://www.washingtonpost.com/national-security/2023/04/14/leaked-documents-russian-spetsnaz/