ロッキード・マーティン傘下のスカンク・ワークスとノースロップ・グラマン、レイセオン・インテリジェンス&スペースの三社は共同で核戦争が勃発した際に使用される米海軍の空中指揮統制機TACMO、通称「終末の日の飛行機」の次世代機”E-XX”の開発競争入札に取り組みます。
E-XXは現在、米海軍に配備されている空中指揮統制機のE-6Bマーキュリーの後継機となる機体です。E-6は核戦争が起きた時を想定し、地上の軍司令部が攻撃を受けて無力化されても、空中から指揮、核兵器の発射指示を行えるよう、高度な通信設備一式を搭載し、TACMOミッション(Take Charge And Move Out)を行えるように設計された機体です。TACMO機は1960年代から運用されており、1989年にボーイング707-320をベースにした、今のE-6Aが就役、1998年には改良型のE-6Bが配備されます。同機の最大の特徴は通信が難しいとされる水中の原子力潜水艦とスムーズに交信ができることで、核戦争の際は水中に潜む戦略核ミサイル原子力潜水艦(SSGN)に潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)による攻撃を指示します。
E-6も運用開始から30年以上が経ち、機体は老朽化しており、米海軍は2024年度の予算請求でTACMO機の近代化の必要性を訴えています。現在のE-6Bは運用コストが高い上、旅客機のボーイング707をベースにしていることもあり、離着陸に必要な滑走路の長さが非常に長く、実際に核戦争が起きた時、運用が難しいとされています。そこで、海軍は次期TACMO機を開発する「E-XXプログラム」では、ロッキード・マーティンのC-130Jスーパーハーキュリーズ輸送機をベースに開発する事を決定します。C-130は未舗装の平地でも離着陸可能で、離陸距離が短いので空母からでも離陸が可能です。さらにC-130J‐30はC-130Hと比べ、ペイロードが19tから20tに、全長は4.57m伸び、容量も増加。巡航速度も550km/hから650km/hに、航続距離は3800km(C-130H)から5250kmと大幅に性能が向上。ミッション対応力が高く、戦時中に適した機体です。
導入時期は未定ですが、海軍はより速い就役を目指しており、2025会計年度の第一四半期にE-XXの契約を結ぶ予定で9機の購入を計画しています。
Source
Northrop, Lockheed, Raytheon team up on Navy’s E-XX ‘doomsday’ plane