以前、モンゴルを訪れた時に現地でゴビ砂漠を巡る3泊4日程のツアーに参加したことがある。道も無い草原を車で走り、遊牧民のテントに泊まりながら目的地を目指すといったもの。休憩である村に立ち寄った時、子供たちがたくさん集まってきた。白人もたくさんいたし、外国人が珍しい事もあったのだろう。失礼ながら子供たちの身なりがあまりよくなかったこともあり、私は持っていたお菓子を子供たちに配ってあげた。 私は映画とかで戦地の子供にお菓子をあげる兵士を見て、どこかカッコいいと思っていたところがあった。しかし、その後、ガイドに怒られた。「我々は別に貧しいわけではない。それに外国人はお菓子をくれると思ってしまう。良い行いではない!」と。私は自分の上から目線の行為に酷く後悔したことを覚えている。映画でよく見た兵士が子供にお菓子をあげる風景、今日では兵士が戦地で子供にお菓子をあげる事を止めている。特に中東においてはそれが厳しく禁じられている。それには非常に残虐な理由があった。
子供を利用したテロリスト
アフガニスタン戦争、イラク戦争では進軍した米軍や同盟国の軍はある者にとっては救済者であったが、ある者にとっては侵略者であり敵であった。親しい者が殺された人たちも大勢いた。侵略者の兵士たちは我が物顔で街を歩き、子供達にキャンディーやチョコを配った。なんの疑念も持たない子供たちにとって彼ら兵士はお菓子をくれる良き人だ。米軍にとっても自分たちは圧政から解放する解放者という事を友好的態度で示したかったのであろう。しかし、大人にとっては違う。そういった行為は偽善的と見なされ、自分たちを下に見る侮辱する行為とみなされた。しかし、これがお菓子を配るの止めた大きな理由ではない。
これらの行為を利用する輩がいた。それがテロリストだ。兵士たちは大人たちには細心の注意を払うが、お菓子を求めに集まってくる子供たちには無警戒だった。米軍や同盟軍が子供たちに対して無防備だと知ったテロリストは最悪にも子供たちを利用することを考える。テロリストはウブな子供を言葉巧みに洗脳した。洗脳された子供は知らずうちに体に爆弾を括り付けられ、米兵にお菓子をもらいにいく、そこでテロリストが起爆装置のスイッチを入れる。この卑劣な行為により、アフガニスタン、イラクでは多くの兵士が犠牲になった。これにより、米軍及び同盟軍は子供にお菓子をあげる事を禁止し、子供たちにも警戒するようになった。
増える子供を使ったテロ
子供を使ったテロは世界中のテロリストの間で常套手段の一つになっている。ナイジェリアのイスラム過激派ボコ・ハラムが実行した自爆テロの5分の1は子供が実行役だ。2019年6月には一人の少年と二人の少女の三人が相次いで自爆して30人が亡くなった。シリアでは2016年12月にスンニ派過激組織ヌスラ戦線が7歳と8歳の少女を使って警察署で自爆テロを起こした。少女たちは自爆前にカメラで殉教を宣言していた。インドネシアでは2018年5月にイスラム過激派組織JADが9歳から18歳の4人の少年少女を使って三つの教会で自爆テロ行い50人以上が死傷した。彼らは兄弟姉妹であり、両親も含めた家族6人で行われた。