韓国、KF-21戦闘機の共同開発からインドネシアを外すことを示唆

韓国、次期戦闘機KF-21の初期生産数の半減を勧告
DAPA

韓国防衛事業庁長官は、インドネシアと共同開発を進めている超音速戦闘機「KF-21 ポラメ」の開発計画からインドネシアを外す可能性を示唆した事が分かった。インドネシア側は最近、開発分担金の削減を要求、また、今年1月に起きたインドネシア技術者の機密情報流出未遂事件についても捜査が続いている。

sponser

中央日報の今月6日の報道によれば、同メディアのインタビューに応えた韓国防衛事業庁(DAPA)のソク・ジョングン長官は「重大技術流出が確認されればKF-21共同開発協力の可否を見直す」と明らかにした。今年1月、KF-21を共同で開発するインドネシアからKF-21の開発企業である韓国の韓国航空宇宙産業(KAI)に派遣されていた技術者が開発関連情報を収めた資料をUSBメモリに保存し、外部に持ち出そうとして摘発される事件が起きた。一部報道によればUSB内にはAESAレーダーといったアビオニクス、3D設計モデリングプログラムに関する重要なデータが入っていたとも言われている。軍事機密や防衛産業技術保護法に抵触する資料は見つかっていないという韓国軍関係者の情報もあったが、捜査はまだ続いており、内容が内容だけに捜査状況は明かされていない。捜査結果次第では共同開発を見直すという長官の発言だが、問題はそれだけではない。

sponser

インドネシアが開発分担金の大幅削減を要求

今年5月、インドネシア側が「開発分担金の支払いを3分の1程度にとどめ、その分、技術移転も少なくして欲しい」という案を韓国側に提示した事が明らかになっている。韓国とインドネシアが共同開発を行うKF-21の開発を主導しているのは韓国側だ。インドネシアは総開発費8兆9000億ウォンの内2割、1兆7300億ウォンを負担し、26年6月まで開発分担金を納付する代わりに試作機1機と各種技術資料の移転を受け、戦闘機48機をインドネシアで現地生産する条件になっていた。しかし、2017年に最初の分担金2200億ウォンを納付して以降、経済難を理由に分担金を滞納。分担金は1兆6000億ウォンに減額された。しかし、減額後も納付を度々滞納、インドネシアがこれまで支払った額は3800億ウォンにすぎない。そして、今回、分担金の負担を当初の3分の1、約6000億ウォンに減らして欲しいと要求している。つまり、残り支払額はおよそ2200億ウォンだ。この要求を飲めば、韓国側は足りない1兆ウォンを自分たちで負担しなければならない。この要求を韓国側が断ったしても、おそらくインドネシアは分担金が削減されないのなら、残りの資金も払わず、KF-21開発計画から脱退するだろう。もし、そうなればインドネシアとしてはこれまで払った3800億ウォンをドブに捨てる事になるが、技術流出事件もあり、既に必要な情報を入手しているのではと勘ぐってしまう。

sponser

KF‐21は2022年7月に初飛行、2023年1月には音速を超えるマッハ1の飛行を達成。2023年3月には空対空ミサイルの発射に成功しており、完成は近い。既に6機のプロトタイプが生産されている。韓国空軍は2026年から2028年の間に初回バッチ分と40機のKF-21を配備し、2028年から2032年まで更に80機を追加量産し、計120機から成る飛行隊を編制する計画だ。しかし、開発費の高騰、アメリカのF-35が量産化により、価格に大差がなくなり、韓国空軍もF-35を追加発注するなど、KF-21の需要が不透明なところもあり、初回バッチ分は半分の20機に削減されている。このような状況でインドネシアが開発計画から離脱すれば、開発費は更に上がり、将来予想された量産化によるコスト削減も見通せなくなる。とはいえ、インドネシアには振り回され続けているので、単独開発もない話ではないだろう。韓国は最近、兵器の海外輸出に成功しており、航空機においてもT/FA-50練習/戦闘攻撃機は6か国が採用、100機以上の受注を受けている。

インドネシアはここ最近、戦闘機の近代化を急速に進めており、フランスから42機のラファール、アメリカから24機のF-15EXを購入を決定している。これらが全て配備されれば、地域最強の空軍力を持つ事になる。ラファールもF-15EXも第4世代戦闘機としては最新の装備を揃えており、第4.5世代戦闘機といってもよい。これらの購入でKF-21が不要になったとも考えられるが、インドネシア側にどういった思惑があるのかは分からない。

sponser
sponser
韓国、次期戦闘機KF-21の初期生産数の半減を勧告
フォローして最新情報をチェックしよう!