韓国国防部は老朽化した500MD軽量多目的ヘリとAH-1Sコブラ攻撃ヘリを置き換えるために、国産の軽武装ヘリコプターLAH(Light Armed Helicopter)の導入を決定。開発生産元の韓国航空宇宙産業 (KAI) に最初のバッチを注文した。
韓国メディアによれば韓国の防衛事業庁 (DAPA) とKAIは2022年12月22日に3,020億ウォンのLAHの初期量産契約を締結した。契約にはヘリコプター10機、パイロットや整備といった運用要員の教育、スペアパーツも含まれた36カ月の契約で、1機目は2024年12月の納入を予定している。
地上部隊の火力支援と対戦車戦、偵察を担う韓国陸軍のヘリ部隊は主に米国製のAH‐64アパッチ、AH-1Sコブラの攻撃ヘリとMH-6リトルバード、500MD軽量多目的ヘリで構成されているが、AH-1SとMD500は運用年数40~50年を超え、老朽化しており、交換時期を迎えていた。これに対し、AH-1Sを製造しているアメリカのベル社がAH-1Zヴァイパーを提案していたが、国防部は国産のLAHを選択した。国防部は2031年までに5.75兆ウォン(5900億円)かけて国産の武装ヘリを量産することを計画している。
LAH(Light Armed Helicopter)
LAHは現代の戦場に適した最先端の武装ヘリコプターの開発を目的としたプロジェクトで韓国軍の老朽化した攻撃ヘリコプターの代替としてフランスのエアバスグループ社のH155をベースにKAIによって設計開発された。同じくKAIのKUH-1 Surion汎用ヘリに続く、2番目の国産ヘリになる。韓国軍は、米国からアパッチの最新モデルのAH-64E攻撃ヘリを購入しているが、高額なため、運用コストが低い軽武装ヘリを必要していた。
軽武装と言いながらもLAHは攻撃ヘリとして敵戦車、地上部隊への攻撃はもちろんのこと空中強襲部隊のカバー、威力調査など、さまざまな任務をこなすことが可能。武装には遠距離から攻撃可能な国産の空対地ミサイル(AGM)チョンゴム、近接攻撃用に20mm機関銃と70mmロケット弾を搭載。アビオニクスには多機能ディスプレイと統合された電子地図コンピューターを含むデジタルコックピット、ノーズに光電/赤外線センサー(EO / IR)、高性能ターゲット捕捉および指定システムを搭載。戦術データリンクによって他の部隊の情報もリアルタイムに更新、それらのデータはパイロットのHMDに投影される。胴体にはミサイル・レーダー警報機、赤外線信号を低減するための上方に向けられた排気装置を装着するなどステルス性も高い。エンジンにはエアバス製のツインエンジンを搭載、最大離陸重量4,920kg、最大航続距離が985km、最大速度は243kmに達する。乗員2人以外に最大13人が乗れ、兵員輸送機としての能力も高い。
同モデルに民間仕様のLCH(Light Civil Helicopter)があり、こちらは先行して開発、導入が進んでいる。LCHの生産と部品の共通化により開発・生産・運用コストが大幅に削減されている。
海外輸出も狙った機体
LAHの開発により、世界で7番目の攻撃ヘリを開発する国となった韓国はLAHの輸出を計画している。米国製のAH-64アパッチは優秀な攻撃ヘリだが、最新のAH-64Eは1機あたり60~70億円と中堅国や途上国には手が出なかった。LAHはそれよりもだいぶ安価とされ、これまで攻撃ヘリの購入が難しかった国への数百機の販売を見込んでいる。韓国は最近、武器輸出を増やしており、その額はここ5年で3倍に、世界8位の輸出大国となっている。ポーランドは今年、KAI社製のFA-50軽戦闘機48機、現代ロテム社製のK-2ブラックパンサー主力戦車1000両を購入する契約を締結しており、来年以降も輸出は拡大することが見込まれている。
Photo by KAI韓国国防調達計画局(DAPA)と韓国航空宇宙産業(KAI)は、KAIが開発する韓国国産の新しい軽武装ヘリコプターLAH(Light Armed Helicopter)のプロトタイプがテストに合格し、「暫定戦[…]
Source