米空軍がF-15E戦闘機を使って硫黄島で行った特別訓練

米空軍がF-15E戦闘機を使って硫黄島で行った特別訓練
Photo USAF

7月2日から21日にかけてインド太平洋地域で行われた日米共同大規模軍事演習「ノーザン・エッジ23―2」でアメリカ空軍は硫黄島で、ある特殊な設定の非常時訓練を行いました。

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米空軍が行ったのは「北太平洋でF-15Eストライク・イーグル戦闘機に機械的故障が発生、離島に一時的に着陸しなければならなかった」という設定のもと、その離島からF-15Eとパイロットを救出するといったものです。その、離島の着陸場所に選ばれたのが小笠原諸島の南端近くに浮かぶ島”硫黄島”です。

F-15Eのエンジン
Photo USAF

7月9日、米空軍第366戦闘航空団 第391戦闘飛行隊に所属するF-15E戦闘機は機械的故障が発生したという設定で硫黄島にある自衛隊の硫黄島航空基地を緊急着陸場所として緊急着陸しました。グアムのアンドリュー基地から1,130キロ、日本からは1,000キロ離れている同基地は主に航空管制・給油・救難を目的とした基地で航空機整備施設はありません。F-15Eパイロットは直ぐに司令部に連絡。着陸したF-15Eとそのパイロットを救出するため、米空軍は岩国地基地から交換用のエンジンと必要な工具、整備士を乗せた短距離離陸能力を持つC-130輸送機が出発させます。C-130は硫黄島に着陸すると直ぐにエンジンを降ろし、整備士は着陸から30分以内で作業を開始します。F-15Eに搭載されていたエンジンを外し、運んできた新しいエンジンに交換。作業は夜遅くまで続き、離陸準備は明朝まで続きました。新しいエンジンに交換されたF-15Eは作業開始から12時間以内に硫黄島を飛び立ちました。

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Agile Combat Employment

これらの演習は「迅速機敏な戦力展開(ACE:Agile Combat Employment)」構想に基づくものです。これまで航空部隊は全てが揃った大規模な空軍基地に駐留していましたが、いざ、戦争が始まれば、これらの空軍基地は真っ先に標的にされます。実際、ロシアによるウクライナ侵攻でもロシア軍が真っ先に攻撃を行ったのは空軍基地です。そうなれば、民間空港や他の小規模な基地を拠点する必要に迫れます。もちろん、そのような小規模空港に空軍基地のような設備はありません。しかし、そのような不測の事態にも臨機応変に対応し、迅速に部隊を再編、展開させる必要があります。ACE構想は離島に数多くの小規模空港がある南アジア太平洋での作戦展開を念頭に置いたもので、特に中国をにらんだものです。

今回の演習では1機のF-35Aの太平洋の小さな島国パラオに着陸後、ブレーキから油圧漏れが発生するというトラブルが発生。パイロットは無線でグアムに連絡し、同様にC-130が必要な部品を積んで向かい、連絡から4時間以内に戦闘準備を整えています。人員や部品がすべて揃っている空軍基地の場合はでは、通常30分以内に終わる作業で、要した時間のほとんどは、部品をグアムからパラオに運ぶのに費やされました。

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Source

https://breakingdefense.com/2023/08/agile-basing-gets-real-world-test-in-pacific-northern-edge-replace-f-15-engine-on-small-island/

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