トルコ、米国のS-400の懸念をクリアすればF-35の購入が可能に

トルコ、米国のS-400の懸念をクリアすればF-35の購入が可能に
USAF

アメリカを怒らせたことでF-35プロジェクトから締め出され、同機が購入不可能となったトルコ。しかし、アメリカはここに来て、問題の発端となったS-400防空ミサイルに対する懸念をクリアすれば、F-35を販売する意向である姿勢を示しています。

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S-400 (ロシア国防省)

トルコを訪問中のビクトリア・ヌーランド米国務副長官は、トルコが購入したロシア製防空ミサイルシステムS-400に対する米国の懸念を解決できるのであれば、米国はトルコがF-35ステルス戦闘機計画に復帰を容認する用意があると述べました。同様のコメントは米国がトルコへのF-16売却承認後の、メディアの「この国(トルコ)がF-35計画に戻ることができるか?」との質問に対し国家安全保障会議戦略広報調整官ジョン・カービー氏が「この問題に関する協議は続いている。トルコがこの問題に関する我々の懸念に対処できれば、F-35計画への参加を回復できるだろう」と述べています。

トルコはNATO加盟国でありながら、2017年にNATOの仮想敵国であるロシアから最新の防空ミサイルシステムであるS-400を購入する総額25億ドルの契約を締結しています。 最初のバッチは2019年にトルコに配達され、二番目のバッチは2022年8月に納品される予定でしたが、第三国への転売を禁じる契約条項にトルコが反対したため、納入は延期されています。

そして、トルコはS-400購入と引き換えに大きな代償を払いました。S-400の購入に関してアメリカはNATOの防衛システムと互換性がないこと。S-400のレーダーはステルス戦闘機を検知できるとされ、対象にF-35の高度な電子探知(ELINT)はレーダー放射を探知できるとされています。これにより、F-35のステルス、電子探知性能がロシア側に漏れることを懸念。そのため、購入を再三止めるように訴えていたものの、トルコはその忠告を無視して購入します。激怒したアメリカのトランプ大統領はトルコに制裁を科し、トルコが当初から参加していた第5世代戦闘機のF-35共同開発プロジェクトから締め出します。トルコは100機のF-35の購入を予定しており、開発のために既に14億ドルを投資、最初のバッチも生産されていましたが、納入はされず、費用も返還されていません。

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アメリカはこの課題を解決すべく、昨年、トルコにS-400をウクライナに供与するように提言するも断られたと伝えられています。トルコはF-35に既に見切りをつけ、独自に第5世代戦闘機TF-X KAANの開発に着手します。しかし、開発には数年以上かかります。F-35はもともと、200機以上保有する老朽化したF-16を更新する機体でした。結局、この更新が大幅に遅れることになるので、トルコはF-16のアップグレードをアメリカに求めます。しかし、これらの懸念があり、それも保留していましたが、先月25日にトルコのエルドアン大統領がスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を承認したこともあり、バイデン大統領は40機のF-16 Block70の売却、既存の保有機のうち79機のアップグレードを承認します。

しかし、この取引とあわせてアメリカはトルコの隣国であるギリシャに40機のF-35の売却を決めます。心穏やかではないのはトルコです。ギリシャは過去何度も紛争を繰り広げたライバル国であり、両国が参戦したキプロス紛争は終わっていません。F-35のギリシャへの売却は地域の戦力バランスを考えたものとされていますが、ライバルのギリシャがF-35を購入したことで、トルコはF-35を求めるのでは推測されています。つまり、F-35購入のためにトルコにS-400を譲歩させる戦略です。ただ、これは諸刃の剣ともされ、トルコがギリシャのF-35を警戒し、S-400を稼働させる可能性もあります。

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Source

https://tr.euronews.com/2024/02/01/abd-s-400-sorunu-cozulurse-turkiyeyi-memnuniyetle-f-35-ailesine-aliriz

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