スウェーデン国防省は軍の近代化と規模拡大に対応するため、アメリカからM4A1カービンライフルを調達する事が分かった。スウェーデン軍の主力小銃はフィンランド製のAK24への更新が始まったばかりで、同軍の主力小銃はM4A1とAK24の2つ体制になるのだろうか。
スウェーデン国防省は、1960年代から1990年代にかけて採用されたAK4とAK5ライフルの老朽化に対応するため、米国からコルトM4A1ライフル15,000挺を購入することを決定した。この新しい装備は、2025年にNATO任務としてロシアの隣国ラトビアに派遣される兵士に配備される予定で、対ロシアの前線NATOの戦力は強化されることになる。スウェーデン政府は10月15日、国防費の増額に伴い、2030年までに軍の規模を男女合わせて約27,000人増強し、職業軍人と徴兵兵を含めて約115,000人規模にすると発表しており、それに対応するためでもある。
M4A1
M4A1はNATO標準口径の5.56×45mmのアサルトライフルで、米軍の主力小銃として数々の戦闘で使用され、信頼ある小銃になる。近代戦のほとんどが都市部に移行しつつあり、市街地でも取り回しの良いコンパクトな小銃を求められた事を受け、それまでの主力小銃だったM16ライフルのカービンモデルとして1994年に開発された。バレル長20インチのM16に対し、M4A1は14.5インチ(370mm)と短かくなっている。ピカティニーレール、伸縮式ストックなど今のアサルトライフルでは当たり前の機能を最初に標準装備し、光学機器といったアクセサリーの追加が容易になり夜間などの多種多様な作戦に対応できる。発射速度は毎分最大950発。有効射程距離は500mで、AK5の400mを上回る。「2030年までに軍の規模は倍増すると予想されている。武器の量も同様に倍増し、大量に必要になるだろう」と軍の調達部門責任者ヨナス・ロッツェネ氏はM4A1を調達する目的を述べた。
新小銃AK24の調達が始まったばかり
FMVスウェーデン国防省は10月30日、SAKO社から最新小銃「AK24」の初回納入分1200挺が納入された事を発表した。AK24はスウェーデン軍の新しい主力小銃になる。[adcode]AKというと、ロシアの銃器メ[…]
スウェーデン国防省は今年10月30日にSAKO社から最新小銃「AK24」の初回納入分1200挺が納入された事を発表した。こちらも老朽化したAK4とAK5を置き換える目的で2023年3月に採用を決定した。同銃はフィンランドの銃器メーカーSAKO社が開発生産しており、契約では2024年中に初回分7,500挺をスウェーデン国防省に納入、来年にはさらに15,000挺を納入する。スウェーデン国防省は11月5日、22,500挺を追加調達する契約を結んだ事を発表している。しかし、現状、納入はスウェーデン軍の要望より遅れている。しかも、2023年3月の入札の決定に対して、SAKO社と争ったドイツのヘッケラー・アンド・コッホ社(H&K)が異議を唱えており、先行きが不透明になっている。H&Kは過去にもドイツ連邦軍の次期主力小銃の入札に敗れた事に対し、異議を唱え、特許侵害を訴え、決定を白紙に。結果、H&K社が開発するHK416A8の採用が決定している。そのため、スウェーデン軍の次期小銃は今後、どうなるか、まだ分からない状況であり、調達が大幅に遅れる可能性がある。M4A1の新規採用は今更感があるが、実績があり、信頼できる銃で、大量調達も問題なく、もしもに備えた応急対応と推測される。